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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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完成された建物が設計図面と異なるというだけで瑕疵があるといえるか?
世間の常識からすれば、「そりゃ、当然、瑕疵がある」ということになるでしょう。
札幌地裁H17・10・28判決も次のように述べています。
「建物について瑕疵があるか否かを判断するに当たっては、まず、当該建物の設計図書、契約図面及び確認図書が当事者間の契約内容を画するものである」から、特段の事情がない限り、「当該建物が設計図書通りに建築されている場合には瑕疵がないとし、その通りに建築されていない場合には瑕疵があると判断すべきである」
これには誰も異論がないのではないでしょうか?

ところが、こういう判決が一部にあるものの、どうも判例は、「設計と異なったって、それだけでは瑕疵ではない」と考えているふしがあります。
阪神淡路大震災の教訓から、建て主が、鉄骨の柱を30mm×300mmに設計内容を変更しました。ところが、建築会社の方で、250mmでも耐震性に差異はないとして、勝手に250mmに変更して建築してしまいました。そこで、建築主が建築会社を訴えたのです。

建て主の気持ちもわかるような気もしますが、一審も二審も、「耐震性に影響はないから瑕疵ではない」と判断しました。どうも裁判所は、伝統的に、「現実に被害が生じていないのに文句を言うのはクレーマーだ」みたいな考え方をしているようです。
さすがに最高裁は、「そりゃおかしい、契約の重要な内容部分と異なるときは瑕疵だ」ということで、原判決を破棄しました。しかし、破棄差し戻し後の裁判で、最終的に認められたのは、250mmと300mmの鉄骨の材料費の違いだけでした。

まあ、これでも、進歩したほうで、昔の判例なんか、「建築基準法に違反したからといって、現実に損害が生じていない」などと言って建築主の請求を棄却していたんです。今は、建築基準法に違反した建物はアウトですが、それでも、現実の賠償額となると微々たる例が多いのが現実です。

ですから、建築主さんとしては、契約と異なるから即瑕疵だと断言せず、それが契約の重要な内容であることを立証する必要があるし、建築会社としては、契約内容と異なるとしても、それだけで、この裁判は負けだとあきらめる必要はないということになります。

ただ、裁判所の考え方を推し進めると、何のために設計図書を作ったり、何のために契約をするのか、わからなくなってしまいますね。あれほど書面中心主義で、契約の文言を重視する裁判所が、なんで建築になると、別の考え方をするんでしょうか。

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