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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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賃貸借契約は、通常、2年の区切りが定められています。この2年の区切りのある賃貸借契約書の連帯保証人の責任期間は、賃貸借契約が更新されても、2年の区切りとともに終了するのでしょうか?

実務上、「保証人引受承諾書」には「借主が更新しても引き続き保証人を承諾します」の文言が入っているのが、ほとんどですから、更新後の連帯保証人の責任が問題になることはありません。

しかし、(1)この文言がない場合、連帯保証人は責任を負うのでしょうか?
また、(2)この文言があれば、必ずいかなる場合でも、責任を負うのでしょうか?

まず(1)の問題ですが、これについては、有名な最高裁判決(最高裁平成九年十一月十三日判決)があります。その結論と理由、例外は、以下の通りです。
【結論】
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、保証人は、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う。
【理由】
保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当である。
【例外】
ただし、以下の例外がある。
① 反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合。
② 賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合。
最高裁が、このように判断した理由は、
① 銀行からの借り入れなどと異なり、賃料債務は一定期間ごとに定まった額で発生するものであるから、債務額の予測が容易なこと
② 建物の賃貸借は、通常、更新されるから、連帯保証人も、当然、更新されるものと予測すべきこと
からと思われます。

次に(2)の問題ですが、これは最高裁判例はありませんが、最高裁が「例外」とした場合、つまり、「請求することが信義則に反する場合」は、承諾書をもらっていても、責任はないと考えられます。
どのような場合が「信義則に反する」といえるかは、ケースバイケースで判断することになりますが、大審院の判例から推測するに、
(1) 保証期間の定めがない。
(2) 保証契約締結後相当の期間を経過している。
(3) 以下の事態が生じている。
① 賃借人がしばしば賃料の支払いを怠り将来も誠実にその債務を履行する見込みがない
② 保証後賃借人の資産状態が著しく悪化し、それ以上保証を継続するとその後の分に対し将来求償権の実現がおぼつかなくなるおそれがある
③ 賃借人が継続して債務の履行を怠っているのに賃貸人が保証人にその事実を告知せず、また、遅滞の生ずるごとに保証債務の履行を求めず突如として一時に多額の延滞賃料の支払いを求め保証人を予期せぬ困惑に陥らしめる
(4)それにも関わらず賃貸人が賃貸借の解除、明渡請求等の処置を取ることなく依然として賃借人に使用収益をさせている。

つまり、賃貸人が、追い出しても入居者が決まらない、それなら保証人から回収すれば良い、と考えて、賃料滞納を永年放置し、多額の賃料滞納になったときに、突然、保証人に請求した場合が典型です。
賃貸人も、保証人の損害を回避すべき信義則上の義務があるといってよいでしょう。

こう考えると、更新後も責任を負うか否かは「保証人引受承諾書」の文言とは関係なく、賃貸人が、保証人の損害を回避すべき信義則上の義務を怠ったと認められるときは、連帯保証人に責任追及できず、損害回避の義務に違反していないときは、保証人に滞納賃料の請求ができる、と考えられます。

それでは、「保証人引受承諾書」の文言は意味がないのかというと、そうではなく、更新後の責任も明記してあるか否かで、信義則上の義務の程度がかなり異なってきます。

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