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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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登記するとき、本人になりすまして、勝手に他人様の土地を移転登記する輩がいる。いわゆる地面師という連中である。
その人の印鑑証明と権利証があれば登記はできるし、仮に権利証がなくても、保証書があれば移転登記はできる。他人様の土地を勝手に名義変更するのは意外と簡単なのだ。ただし、これをやっても、無効な登記であるから所有権は移転しないし、何よりも、相当長期間、刑務所生活を送ることを覚悟しなければならない。地面師をして、執行猶予はあり得ない。
しかし、虚偽の登記簿を使って、融資名目や売買名目で、お金を騙し取ることができる。普通、登記簿を見せられたら、誰だってそれを信用するからだ。

こういう行為を防ぐために、法務省は、司法書士に、移転登記等の際、重い調査義務を課している。売り主が本当に本人なのか、司法書士が確認しなさいというのである。
しかし、いくら司法書士に調査委義務を課しても、簡単な登記なら、書式さえあれば素人でもできる。行政書士あたりに頼んで申請書式だけ作ってもらっても良い。
地面師の跋扈を完全に防ぐことはできないのだ。

こういう地面師の跋扈を防ぐ制度として、意外と知られていないのが「不正登記防止申出制度」である。

これは、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に利用されるものである。例えば、
本人の知らない間に不動産の取引がされていることが発覚した場合
第三者が不正に印鑑証明書の交付を受けたことが発覚した場合
などである。

利用するには、登記の名義人や相続人等が管轄法務局に所定の内容の申出をする。
不正登記防止申出の手続は,申出人(登記名義人等)本人が登記所に出頭することを原則としているが、本人が登記所に出頭できない止むを得ない事情があると認められる場合には,委任による代理人が登記所に出頭してすることもできる。

ただし、
市町村長に印鑑証明書の不正発行に関する相談をしていること、
警察に防犯上の相談をしていること、または告発の手続を取っていることなど、ある程度の具体的な行動をとっていることが、
原則として必要となる(平成17年2月25日法務省民二第457号の第1の2)。

この申出をすると、申出の日から3か月以内に当該申出にかかる登記申請がされた場合に、法務局から申出人にその旨の通知がされることになる。
ただし、申し出出があったからといって、直ちにその対象となる登記申請が却下となるわけではないので、その点には注意が必要である。

この地面師がらみで面白い判決がある。東京高判・平成24年04月17日が、それである。概要は、以下の通り。
AがB売却し、BがCに購入後ただちに転売する。Cは、自分が最終購入者であるから、融資をしてほしいとDに頼み、Dは、了解した。
   ↓
融資の際、司法書士が立ち会い、BにCへの売買意思確認をするとともに、必要書類をチェックし、これで問題なしというので、Dは、その司法書士の言葉を信じてCに融資した。
   ↓
ところが、司法書士が登記申請をすると、登記所は「Aが不正登記防止申出を行っていたことを理由に却下。
   ↓
DがあわててCやBに連絡を取ろうとしたが、融資したお金とともに行方不明。Aにも問い詰めたが、Aは、「自分は知らない間に移転登記された、CやBなんか知らない」と反論された。
   ↓
そこで、お金を騙し取られたDが、司法書士に、BからCへの移転登記の真正をチェックするだけでなく、なんでAからBへの移転登記の真正までチェツクしなかったんだ、騙し取られたお金を賠償しろと訴えた。

東京高裁は、連続移転登記における前々者Aの意思確認義務は司法書士にはないとして、Dは敗訴。(一審も同じ判断)。



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