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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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賃借人が破産して管財人から賃貸人のところに連絡が来る。自分には経験がなくても、知り合いの同業者で、こういう経験をされた方は結構いるのではないでしょうか。
賃借人が破産したら、破産管財人が、このまま賃貸借契約を継続するか、解除するか決めることになります(破産法53Ⅰ)。ま、破産して事業を閉鎖しようというわけですから、たいていは、解除を選択するでしょう。

そこで問題になるのが、契約書に定めた違約条項です。たいていの契約書には、「賃貸借契約が終了しても立ち退かない場合は、賃料の倍額の使用損害金を支払う」とか、「6か月前に予告せずに契約解除する場合は、6か月分の家賃を支払え」という条項があります。
一番、過酷な条項は、建設協力金方式の賃貸借契約です。あれは、建物賃貸借とは名ばかりで、現実には、土地を借りて自分で建物を建てるという実態を、むりやり大家にお金を貸して大家が建てた、その建物を借りているという建物賃貸借契約にしているわけです。そこで、賃借人が契約を中途で解除した場合は、敷金や建設協力金の返還が不要になるよう、同額の違約金が発生するような契約にしている場合が多い。そうでなけりゃ、このご時世、地主さんは建設協力金方式とはいえ、なかなか土地を提供してくれません。

こういう条項は、通常は、有効と解釈されています。経済的に合理性があることは明らかで、無効と解する理由はないでしょう。
しかし、破産手続きが開始されると、そうはいかない。多くの取引先が泣いているなかで、大家さんだけが甘い汁を吸うというのは、やはり、破産制度の理念にそぐわないことになります。
以下の判例は、そういう破産制度の趣旨から、違約金条項の効力を制限したものです。

「賃貸借契約が終了しても立ち退かない場合は、賃料の倍額の使用損害金を支払う」と条項について
1、 使用損害金は、それが管財人の行為によって発生したものと評価される場合は、財団債権になる(最高裁S43・6・13)
2、 しかし、財団債権として認められる額は、あくまでも、賃料と同額の範囲に限られる(東京高裁H21・6.25)

「6か月前に予告せずに契約解除する場合は、6か月分の家賃を支払え」という条項について
東京地裁H21・1.16
6か月前までの解除予告に代えて賃料・共益費6か月分(1200万円)を支払い、即時解除することができる旨の条項のある賃貸借契約が締結された事案において、当該条項は、解除権を認めた規定にすぎず、他の事由により契約が終了したときに違約金を支払う旨を規定したものではない。

建設協力金方式の賃貸借契約で賃借人が契約を中途で解除した場合、敷金と建設協力金の支払いが不要となる契約について
名古屋高裁H12・4・7
賃借人は、自動車販売用品店。
賃貸借契約の内容は以下の通り。
「期間15年、賃料月額150万円、敷金2500万円、建設協力金5000万円。
中途解約の場合は、敷金及び建設協力金の未返還部分合計額の違約金が発生する。そこで、賃貸人は、この違約金と敷金及び建設協力金の未返還部分を相殺できる。つまり、中途解約の場合は、敷金も建設協力金も返還する必要はない。」
裁判所の判断は以下の通り。
破産債権者全体の公平を考慮すると、賃貸人の合理的な期待の範囲内で相殺を認めるべきである。本件では2100万円で相殺が認められる。


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