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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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不動産業界には、世間の常識と異なる常識がいくつかある。その一つが転売である。
仲介業者さんが、Aさんから所有する不動産の売却先を探してくれるよう頼まれた。そこで、Bさんを紹介し、1000万円で売買が成立した。
この場合、仲介業者の受領できる手数料は、双方からそれぞれ3%+6万円が上限である。本件では、72万円が上限である。

ところが仲介業者は、Bさんが、2000万円でもほしいというので、Aさんから1000万円で買い、直ちにBさんに2000万円で転売した。つまり、土地転がしをした。
この場合、仲介業者の得た利益は1000万円である。
これが土地転がしであるが、こういう単純な土地転がしは少ない。仲介業者に譲渡益が発生するし、土地転がしが売り主にばれるからだ。
普通、仲介業者は、「どこかのつぶれてきた会社」を買主に仕立て、まずAさんに、その会社を買主として1000万円で売却させる。次に、その会社を売り主に仕立て上げ、Bさんに2000万円で売却させる。
仲介業者は、転売益のほかに、売り主と買主から仲介手数料をもらえる。しかも、譲渡益は、「どこかのつぶれた会社」に発生しており、税務署としては仲介業者に課税の手段がない。

業者の弁解は、こうである。
「Aさんは、1000万円での売却に同意していた。Bさんも、2000万円の購入に同意していた。全員が了解済みであり、問題はない」

これはかなり世間常識に反するが、業界では、常識である。昭和時代の土地高騰では、業者は、大手不動産業者を含めて、平気でこういう土地転がしをしていた。不動産の価格は一つなのに、買取価格とか末端価格などというありえない用語が日常化し、消費者を(土地転がしの最後の顧客、つまり投機目的ではなく、真に土地がほしい人)エンドユーザーなどという用語で平気でよんでいた。

このような土地転がしが日常化することは、不動産市場への信頼を害することから、法務省は、不動産登記法を改正し、中間省略登記を禁止した。土地転がしは、多くの場合、中間省略登記を行うからである。
上記の例でいえば、本来は、A→「どこかのつぶれた会社」または仲介業者→Bと登記すべきであるが、これだと、登記簿に土地転がしをしたことが如実に反映されてしまう。そこで、中間省略登記をして、A→Bと登記してしまう。これだと土地転がしは、なかなかばれない。

しかし、それでも、司法書士や弁護士等は、不動産業界に「土地転がし」の需要があることから、何とかして中間省略登記を合法化しようと、いろいろな構成を考えている。ただ、土地転がしの必要があるからとは正面から言えないので、建前上は、登録免許税の節約という表現をしている。

福岡高裁平成24年3月13日判決は、
 宅建業法46条が宅建業者による代理又は媒介における報酬について規制しているところ、これは一般大衆を保護する趣旨をも含んでおり、これを超える契約部分は無効であること(最判昭和45年2月26日判決)、被控訴人らは宅建業法31条1項により信義誠実義務を負うことからすれば、宅建業者が、その顧客と媒介契約によらずに売買契約により不動産取引を行うためには、当該売買契約についての宅建業者とその顧客との合意のみならず、媒介契約によらずに売買契約によるべき合理的根拠を具備する必要があり、これを具備しない場合には、宅建業者は、売買契約による取引ではなく、媒介契約による取引に止めるべき義務がある。
として、土地転がしを否定している。
この宅建業者は、直接取引を行いその後転売することによって、600万円の利益を得ている。媒介の手数料は上限は72万4500円だから、差額の527万円程は丸儲けとなる。
それでも、一審は、この土地転がしを合法だと判断しており、業界の「常識」にそった判決をくだしている。地裁裁判官が、そのように判断するほど、土地転がしは、日本社会に根差した常識なのだろう。



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