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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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昨年、大問題になりましたね。既製杭のデータ流用。最初は、旭化成の一社員の行為かと思っていたら、実は、こういう手抜きは、結構、業界の一部では「常識」になっていたようで、これには驚きました。
建築業界とか不動産業界って、世間では理解できない「常識」がまかりとおっていますが、これも、その一つなんでしょう。

確かに普通、支持層は大体平らですから、何本か支持層に到達していれば、他の杭も普通は支持層に到達しています。横浜のマンションでは、波打つような支持層のため、既成杭が支持層に到達していなかったわけですが、こういう支持層は、そうありません。またあったとしても、大地震でもない限りは、普通は、ばれません。まあ、そういうこともあって、こういう悪しき慣習が、一部にはびこったのかもしれません。
ただ、マンションは、一生かけた買い物という方がほとんどでしょうから、購入者の方が激怒されるのは当然です。では、購入者は、誰にどのような責任を追及できるでしょうか。また、業者は、責任を免れる可能性はあるでしょうか。

[基本的観点]
普通、建設工事は多くの関係者が重層的に集まって進められ、他の業者への信頼を前提として各業者が工事をすすめがちです。
しかし、「基礎」というのは、建物の構造のうち、一番大切なところであると同時に、外部からは容易に確認できません。特に施工後は、直接確認することは不可能です。
そこで、杭の施工、特に支持層の到達については、関係者各位には、それぞれ独自に非常に重い管理義務・注意義務があると考えられます。「○○の指示通りにした」とか主張して、他者に責任転嫁をすることは難しいでしょう。
いいかえると、この責任転嫁が法律的に可能な場合のみが、責任を免れることになります。

[設計者の責任]
設計段階で、杭が支持層に到達していなかった以上は、当然、設計ミスですから、賠償責任を負います。
しかし、誤ったデータが与えられたため、結果として設計ミスになった場合は、責任を負いません。この場合は、責任転嫁ができます。
それでは、発注者から設計条件として与えられたボーリングデータが不十分だった場合、例えば、ボーリングデータが1箇所しかないような場合は、データが不十分だったとして責任転嫁できるでしょうか。
この場合は、確かに支持層の深度を的確に把握して設計することは困難です。しかし、設計者は、発注者に、これでは支持層を把握できないとして、ボーリング調査を十分に実施するよう発注者に要求すべきで義務があると考えられます。設計者の責任は免れません。

[下請けの責任]
杭施工業者としては、支持層に到達したかどうかを確認すべきは当然で、この確認を怠った以上は、賠償責任は免れません。
設計図通りだという言い訳は通用しません。この場合は、関係者あるいは発注者に、設計図では支持層に到達しないことを指摘し、設計図の変更を求める必要があります。
また元請の指示に従ったという言い訳も通用しません。仮に元請が納期の関係等で、一部の確認でも大丈夫だといっても、施工業者はその指示に従うべきではありません。下請業者としては元請業者が、不適切な指示をした場合は、元請業者に是正を強く求め、それでも元請が拒否するなら、発注者に進言するなどして是正を促すべきです。
元請の指示に従わなかったとしても、債務不履行にはなりません。

[元請の責任]
元請業者は、下請業者に任せきりにするのではなく、すべての杭で支持層到達の立会確認を行うべきです。
下請けがかってにやったことで、元請は知らなかったという言い訳は通用しません。
そもそも、元請は下請けに本件工事において、基礎工事を下請業者に丸投げしてはならないのであり、仮に下請けに丸投げして施工に実質的に関与していなかった場合は、建設業法22条違反となります。(民間工事においては、発注者の書面による承諾を得た場合は適用除外となります)。
ケースによっては、営業停止、建設業許可の取消しの処分を受ける可能性があります。
毎日新聞は、1月13日付けのWEB記事で以下のように報道しています。
「国交省は日立ハイテクが旭化成建材に対し、建設業法が禁じる工事の丸投げをしていたと判断しており、両社に15日程度の営業停止を命令する見通し。また、両社は現場に専任の主任技術者を配置しておらず、三井住友建設も是正指導していなかったとして、3社に業務改善命令を出す方針。」


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