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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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債務整理系事務所が、過払い金の次に狙いを定めていたのが更新料ビジネスだった。東京等では、賃貸借契約を更新する際、更新料を請求するのが慣習的に行われてきた。この更新料の請求が、消費者法に違反するのではないかと、問題になったのだ。現に、かなりの裁判所で、この更新料無効判決が出されるようになった。
そこで、債務整理系同系列の弁護士事務所が、過払い金事件の減少を見込んで、「更新料を取り戻そう!!」と、広告宣伝活動をするようになった。
ところが、ある最高裁判決を機に、この「更新料ビジネス」は、終焉した。
多くの零細大家さんは、ただでさえ、ローンの支払いに四苦八苦しているところに、「更新料は無効、過去に受領した更新料を返せ」となれば、資金繰りに窮し、倒産必須だったろう。

その判決というのが、平成23年7月15日付けの最高裁判決である。この判決は、更新料特約の有効性について判断したもので、大阪高裁段階の判断が分かれた3件の訴訟(2件は無効、1件は有効)についての判断である。

最高裁の判断は以下のとおりである。
1、更新料は、賃料の前払いや補充、賃貸借継続の対価という性質があり、合理性がある。
2.だから、あまりに高額すぎる場合以外は、消費者契約法10条に違反しない。

次の問題は、どういう場合が無効となるかであるが、以下の2点がポイントとなる。

第一要件
更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している。
最高裁判例を踏まえて以下の対処が必要になる。
(1)契約前に更新料があることを明確にして募集する。
(2)重要事項説明書にも明確に記載する。
(3)できれば、重要事項説明書以外にも更新料について明確な説明書を作成するのも有効である。たとえば、更新料や礼金を含めた実質賃料を、事前に示すことが有効だろう。


第2要件
更新料が高額過ぎない。

実務上は、これが今後の論争点になるだろう。

最高裁に継続した案件は、以下の3つである。
1、礼金 6万円、月額家賃 4万5000円で、更新料 1年ごと10万円
2、月額家賃3万8000円で、更新料1年ごと7万6000円
3、月額賃料5万2000円、共益費2000円。礼金は契約当初の4ヶ月
分、更新料を2年ごとに旧賃料の2か月分
これらは、消費者契約法10条違反にならず、全て有効とされた。

これによれば、関東で慣行とされている、2年に1度、1~2ヶ月分の更新料徴収は消費者契約法10条違反になることはない。
しかし、このレベルを超えて更新料を取得するときは、更新料が高額過ぎるか否かで、新たな問題を生ずることになる。

[高額過ぎるか否かについての最近の判例]

1、大阪高判 平24・7・27は、「このレベルを超えて更新料を取得した」ケースである。
2、同判決で、以下の通り判断し、賃料の3.12 か月分に相当する更新料特約は、かろうじて、消費者契約法10 条に違反しないとして更新料の返還請求を棄却した。なお、本事例の原審は更新料特約そのものは否定せず、高額に過ぎる部分を無効としていた。
「かろうじて」と判断しているところを示すと、このあたりが更新料の限界値なのかもしれない。

2、契約内容は、以下のとおりである。
①ワンルームマンション
②4年間賃借して居住
③礼金18万円、敷金10万円、賃料月額4万8000円、共益費月額5000円(平成20年1月分からはこの他に衛生費月額650円を徴収。)
④契約期間は1年
⑤更新料は15万円であり、賃料の3.125か月分(平成19年12月の更新以降は更新手数料1万0500円も加えると約3.344か月分。)に相当
⑥賃貸人の年間の取得額72万6000円(平成19年まで。4万8000円×12+15万)の2割以上を占める
⑦賃料月額4万8000円に対し、実質賃料額も月6万0500円と約定上の賃料月額の約1.26倍

3、裁判所の判断は、以下の通り。
①本件更新料特約は、その賃料額や更新期間に照らし、やや高額であることは否めない。しかしながら
②契約期間が1年に対し、その礼金は18万円とされており、本件更新料はこれより低額である
③本件物件の前記の実質賃料、礼金が、本件物件や立地条件(駅に近い等)のであったとまではいえない
④したがって、特約による更新料が高額に過ぎるもので前記の特段の事情が存するとまでは、かろうじていえない。
⑤このようにみてくると、本件更新料条項を消費者契約法10条により無効ということまではできない。

[大家としての対策]

貸借契約書には一義的かつ具体的に更新料特約を記載することが必要だが、それだけでは不十分で、賃借人が、当該物件と他物件とを比較考量できるよう賃借人に更新料について十分な説明を尽くす必要がある。
裁判を起こす人の中には訴訟マニアみたいな人もいるが、「一見お得そうに見えて、結局高い家賃じゃないのか、騙された」という人もいる。

大家としては、「できるだけ高い賃料を得たい」、反面、「できるだけ空き室率を少なくしたい」という観点から、賃料を低めに見せながら、実質賃料を高くしたいと考えたくなるのはわかるが、それはトラブルに発展するリスクがある。


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