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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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不動産仲介業者の主たる業務は、世間的には、「お客を見つける」ことと思われています。買主を探す、いい物件を紹介してもらう、そのついでに契約書も作成してもらう。これが、顧客のニーズです。
しかし、仲介業者の主たる業務は、買い手・売り手を見つけることではなく、売買契約について両当事者の仲にたち、後日、トラブルが発生しないよう防止することです。

不動産業者は、売買契約の媒介においては、売買対象物における重要事項につき調査し、委任者に告知すべき義務があります。そこで、不動産業者が仲介をする場合には、媒介業者として、土地や建物を購入しようとする買い主に対し、重要な事項を書面に記載し、これに基づき説明することになっています(宅建業法35条)。

問題は、何が重要事項なのか、ということです。これが不明確です。
というのは、「何が重要か」は人によってさまざまで、不動産業者は、買主の意向をくみ取って、重要と思われる事項を説明しなければなりません。結局のところ、「そのような事情があるのであれば、当該物件は購入しなかった(借りなかった)」といえるだけ買い主(借主)にとって当該契約締結にあったって重要視される事項」を重要事項というものといえます。
所有権の有無や制限物権、宅地造成等規制法、都市計画法、建築基準法上の接道義務、指導要綱に規定された行政指導、文化財保護法57条の2の文化財包蔵地法令上の規制等は、もちろん、隣地との境界紛争、管理費や固定資産税滞納も重要な事項です。さらには騒音、周辺環境特に今後高層建物が建つか否か、日照、通風、眺望、周辺施設、不動産取引に対する課税、軟弱地盤、地中埋設物、土壌汚染等々。それ以外にも、色々とあります。

判例を見ると以下が「重要事項」とされています。
(1) おなじ賃貸マンションに、賃借人に暴力団組員がいるのか否か(東京地判H9.10.20)
(2) 耐火性が建築基準法上求められているマンションの一部が木造部分の建築基準法上の違法建築である(横浜地裁H9.5.26)
(3) 土地売買にあたって、根抵当権設定登記が付せられている(東京地判H8.7.12)
(4) 建物賃貸借において、差押登記が付せられていること(東京地判H4.4.16)
(5) 土地売買において、行政指導による建築制限の存在(東京高判H2.1.25・大阪高判S58.7.19)
(6)自殺者が出ていた、犯行現場であるか否か


[眺望]
重要事項でしばしば問題になるのが「眺望」です。実務上、眺望が重要事項か否かでトラブルになり、多くの場合、眺望も説明すべきだとして、賠償責任を認めています。ただ契約解除を認めた判例は少数です。
ところが、福岡地裁H18・2・2は、眺望について重要な説明義務違反があったとして、売買契約の解除を認めています。業者は、全室オーシャンビューとして物件を販売しましたが、完成してみると、海は見えるものの、前方数メートルに電信柱がたち、さらに送電線が3本走っていることから、「これじゃ、楽しみにしていた眺望がだいなしだ」として、売買契約の解除を求めたものです。
裁判所は、購入者が眺望を重視していたことを認め、売買契約の解除をみとめました。

[降雨による浸水の恐れ]
判例ではありませんが、多くの市町村で、「行政指導」がなされています。
「不動産業者は、地形などの地域の状況から明らかに浸水のおそれがないときを除いては、取引対象となる土地(建物)が、降雨によって浸水するおそれがあることについて、取引に際して調査する義務がある。
土地の浸水又は冠水が数年に一回しかないときでも、『浸水又は冠水が2、3年に1回あった』旨の説明をするよう努める義務がある。」

[保安林指定]
ちょっとかわった判例で、保安林の指定についての調査義務を認めた最高裁判例があります。
「山林の売買を仲介する場合には、買主に対して交付すべき物件説明書に都市計画法、森林法などの法令に基づく制限の記載欄があり、かつ、目的たる山林が山間地に所在していて森林法による保安林の指定が推測される場合には、登記簿上の地目が保安林でなく、また現地に保安林指定の標識がないときであつても、宅地建物取引業者には、所轄機関に照会して右山林について保安林の指定があるかどうかを調査すべき注意義務がある(最判S55.6.5)」

買主としては、仲介業者から渡される「物件希望表」等の書面に、自分の希望をきちんと書いておくべきです。また、業者としては、事前にきちんと買主から希望をリサーチしておくべきです。
これさえ、きちんと行われていれば、トラブルにはならないでしょう。



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