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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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購入した建物で実は自殺者がいたとか、殺人事件があったとなると、心理的瑕疵があったとして、売買にあたり、重要事項として買主に事前に説明しなければなりません。もしこれを説明しなかったら、心理的瑕疵があったとして、売買代金の減額が認められます。

それじゃあ、建物が完成する前に、工事現場で働く人が、その工事現場で自殺したら、「欠陥」住宅になるのか?
自分は、欠陥住宅問題を専門的に扱う住宅紛争審査会審査委員をやっていて、研修なんかで、色々な「瑕疵」の勉強をしているけど、この手の心理的瑕疵の欠陥住宅問題は聞いたことがありません。

しかし、これを扱った判例があります。東京地裁 平24・11・6 判決です。

建設会社の人達は、誰でも経験があるだろうけど、建築中、異様なまでにクレームをつける近所の人がときどきいます。まあ、隣で建設工事が始まれば、誰でも迷惑をうけます。しかし、そこはお互い様。多少は文句を言っても、工事現場の現場長あたりが平身低頭で謝罪に行けば、まあまあ、で終わります。これ以上、トラブルにはならない。
ところが、モンスターみたいな人が近所にいると、もう大変。あれが気に食わない、これが我慢できない、ともかく、連日、工事現場の事務所におしかけ、文句を言う。現場長は、精神的に追い詰められる。会社に対策を求めたかどうかわからないけど、会社と注文主、クレーマーの板挟みになった工事担当者は、自殺という方法を選んだ。そういう案件です。
すると、今度は、注文主が、「とんでもない。こんな建物、住むわけにはいかんよ」といって、請負会社に賠償を求めて裁判を起こしたわけです。

裁判所の見解は、以下の通りです。
1、建物の請負契約においては、注文者と請負人との間では、請負人の行為により、完成した建物において注文者が住み心地の良さを欠くと感ずるような心理的に嫌悪すべき事由を発生させないことが、たとえ明示されていなくても契約の内容とされている。

2、被告が、本件事故により生じた心理的嫌悪感により、本件建物に居住することに強い抵抗を感じているとしても無理はないものと認められる。
また、本件事故の態様からして、本件事故により、通常一般人も本件建物における住み心地の良さを欠くと感ずることには合理的理由がある。

3、本件事故は、被告が本件建物の住み心地の良さを欠くと感ずるような心理的に嫌悪すべき事由といえる。

4、その結果、本件建物には30%程度の減価が生じた

5、本件土地上から本件建物が滅失するに至った場合を考えると自殺である本件事故が発生した本件建物の敷地である本件土地について、本件建物の有無にかかわらず、本件事故を理由とする減価が生じるとまでいうことはできない。

こうなると、単に欠陥住宅問題だけでなく、別の方面にも問題は波及します。まず建築会社は、現場担当者が自殺したことについて安全配慮義務を問われます。会社に悩みを訴えていたものの、適切な対応をとっていなかったら、会社は、安全配慮義務違反を問われ、賠償責任は免れません。
お隣のクレームをつけた人も、そのクレームの程度が非常識なレベルなら、不法行為賠償責任を負わされることになります。

隣で工事が始まり、クレームをつけたくなるのは、人間として当然ですが、その程度がモンスターと言われるレベルになってないか、検討する必要はありますね。もっとも、そんな検討ができるような人なら、モンスターにはならないでしょうが。


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