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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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普通、賃料というのは定額制です。一月〇万円、敷金〇円、月末までに翌日分を支払う、これが普通でしょう。
ところが大規模なテナントビルだと、賃料は、売り上げの〇%という決め方をしているケースが多いです。百貨店やショッピングセンターは、だいたい、そうですね。というか、定額制というのは、非常にレアケースだと思います。つまり、テナントの売上に対して一定の歩合率を掛けて算出された金額を賃料として支払って頂く訳です。これを完全売上歩合賃料制といいます。
こういうテナントビルの多くは、レジの売り上げが、そのままビル会社に連絡が行くシステムになっていて、ビル会社側は、絶えず、テナント側の売り上げを把握しています。言い換えれば、テナント側は、日々、売り上げをビル側に把握されています。
また、売り上げ現金は、日々、テナントは、ビル側に納め、所定期日に、ビル側が所定賃料を差し引いてテナント側に返金するという制度になっているのが普通です。こうすることで、賃料滞納を防ぐことができるのです。
テナント側は、絶えず、お金を「預かられている」という状態ですから、立場としては非常に弱い。大家は、修繕費だとかいって、一方的に差し引けますから。

ビル側に圧倒的に有利なシステムですが、こういうシステムがとれるのは、そのビル自体の集客力がものすごいからです。イオンとか三越とかルミネとか、こういうビルに入店しているテナントは、売り上げの多くを、そのビルの持つブランド力に頼っています。そのビルの中にある店舗だからこそ、ユーザーは、その商品を買い求めるわけです。つまり、賃貸人側が圧倒的に強い。「借りてください」というのが、ふつうのケースですが、ここでは、「貸してやろう」という殿様商法がまかりとおります。
しかも、ビル側は、施設内に出店しているテナントの売上状況を常に把握していますから、退店のリスクヘッジに役立てています。

問題は、この完全売上歩合賃料制だと、テナントの売り上げ低迷は、ビル側の売り上げ低迷になることです。テナントが順調に売り上げを伸ばしているときは、賃料もどんどんアップしますが、テナントの売り上げが低迷するときは賃料も低迷します。テナントと運命共同体みたいになります。

そこで最近は、現実の売り上げに関係なく、売上の最下限を決め、例えば、最低でも月100万円とし、そこに決まった歩合率を掛けて算出された賃料額を最低保証の賃料とし、100万円を超えた金額に、歩合率をかけるというビルが多くなってきました。固定賃料+歩合制賃料の併用型で、テナントビルで新規の賃貸借は、ほとんど、この形態のはずです。

この変化は、日本の経済成長と一致します。敗戦から高度成長にかけて、物価はどんどん上昇し、経済発展とともに不動産価格や賃料も、どんどん上昇しました。すべて右肩上がりの時代だったのです。一方、家賃は、判例法理で、借家人の保護が徹底され、いったん貸すと、そう簡単には賃料の値上げは請求できませんでした。
そういう場合には、この完全売上歩合賃料制は、更新の都度、賃料値上交渉を行う必要もなく、まことに便利な制度でした。
しかし、高度成長から安定成長に移ると、どの店舗も、売り上げは右肩上がりとはいえなくなりました。
そうなると、この歩合制賃料は、いろいろな問題点がでてきて、やがて、固定賃料+歩合制賃料の併用型が主流になります。
広島地裁の平成19年7月30日判決 (判例時報1997号 112頁)は、駅ビルの運営会社がテナントに対し、店舗 の賃料の増額と、完全売上歩合賃料制から併 用型賃料制への変更を求めた事案です。
判例は特段の事情のない限り、賃貸人の一方的な意 思表示により完全売上歩合賃料制から併用型 賃料制への変更を請求することはできないと しましたが、まあ、妥当な判例でしょう。
その理由は「併用型賃料制においては、 売上が一定水準に満たない場合であっても一 定の賃料水準を確保できる一方で、売上が一 定水準を超えた場合にはその超えた部分につ き歩合賃料の支払を受けられることから、完 全売上歩合賃料制に比べて、一方的に賃貸人 に有利なものである」ということです。
但し、例外もあり
① 賃貸借契約締結後の経済事情の変動等によって併用型賃 料制でなければ相当賃料への是正がなし得な い
② 当事者間にその後の賃料改訂に当た って完全売上歩合賃料制から併用型賃料制に 変更する旨の合意がされていた
場合は、変更できるとされています。

森・森元による森法律事務所の書籍のご案内

1,不動産・建築
(1)
「図解で早わかり 借地借家 法」
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
図解で早わかり最新版 借地借家法
三修社  定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
(2)
すぐに役立つ 最新建築基準法と私道・境界・日照権の法律とトラブル解決法
森公任 ・ 森元みのり共同 監修
https://www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384048261/

建物建築や増改築に不可欠な道路、境界、日照権などの法律問題と建築基準法の 基本事項を網羅的に解説。


2019年6月25日施行の建築基準法の改正に対応。
建築工事、通行権、隣地使用、塀、相隣関係まで、さまざまな相談事例も多数掲載。
(3)
「重要用語&図解 民法改正で変わる!最新 契約実務 基本法律用語辞典」
森公任 ・ 森元みのり共同 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4413
「債務不履行」「解除」などの基本事項から「売買」「賃貸借」まで。
ビジネスや日常生活などで関わる各種契約と関連法律を網羅。
取引の全体像と実務上重要な法律用語が短時間でわかる。
本書の特徴
【第1部】見開き構成で契約実務の基本事項46項目を平易に解説。
【第2部】これだけは知っておきたい!実務上重要な570用語を厳選収録。」
(4)
「図解 最新 不動産契約 基本法律用語辞典 」
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4240
森公任 ・ 森元みのり共同 監修。
「重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約
売買から賃貸、相続・登記、税金まで
「難しい」「複雑」「なじみにくい」
取引の全体像と実務上重要な法律用語が短時間でわかる!
●本書の特徴
【第1部】:見開き構成で不動産をめぐる法律の基本事項46項目を平易に解説。
【第2部】:これだけは知っておきたい!実務上重要な800用語を厳選収録。
●本書で取り扱うおもな分野
売買/借地/借家/道路・境界/建築工事をめぐる法律/マンション管理/不動産登記/担保/競売/任意売却/不動産の税金 など重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約しました。」
是非、ご購入ください!
(5)
「 重要事項&用語 図解 トラブル解決に役立つ
最新 民事訴訟・執行・保全 基本法律用語辞典 」
森公任 ・森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4313
三修社
「難しい」「なじみにくい」「わかりにくい」
不動産・建築訴訟に勝ち、権利を勝ち取るために必要な法律や制度の全体像と知っておきたい法律用語が短時間でわかる!紛争解決に必携の書!

2、知財
森・森元による
「すぐに役立つ 改正対応 著作権・コンテンツビジネスの法律とトラブル解決マニュアル」
https://www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384047981/

改正対応 著作権・コンテンツビジネスの法律とトラブル解決マニュアル (すぐに役立つ)

WEB、出版、広告、映像、音楽、美術など


「暮らし」と「ビジネス」に関わる疑問や法律問題がわかる!


2018年の著作権法改正(2019年1月施行)、TPP関連法に対応。


 ●著作物にあたるのかどうかの判断基準がわかる


●著作権の帰属や管理、契約書の作成など法律知識も網羅


●著作権侵害行為の類型や対抗法、送信防止措置、発信者情報開示請求がわかる


●TPP11発効後の著作権法改正についてもフォロー



3、企業法務
森・森元による「入門図解 最新 中小企業のための会社法務の法律常識と実務ポイント (事業者必携)」
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4438
入門図解 最新 中小企業のための会社法務の法律常識と実務ポイント (事業者必携)
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