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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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建物が老朽化すれば、大家としては建て替えを計画します。そうでないと、際限なく、改修費が重なっていくし、もし何か事故でもおきたら、それこそ、破滅的な賠償責任を負担することになります。
しかし、建て替えたいからといって、借り主はおいそれとは出てくれません。建て替えの必要性だけでは賃貸借の解約・更新拒絶の正当事由とするのは不十分とされているからです。

しかし、都市部では、一部の借家人が立ち退きを拒否したために老朽化した建物が放置されるというのは、社会経済的にみて重大な問題があります。
そこで、要は、借家人の経済的損失を防げばいいんだから、その損失を防げるだけの立ち退き料を支払えば、解約を認めるべきだという考えが主張され、判例も、都心部の高度利用地区にある多く古い建物について建替えを必要とするケースでは、この流れに沿った判断をしています。

それでは、どういう場合に、立ち退き料を支払うことで賃貸借契約を解除できるでしょうか?

第1に、建て替えの必要性が相当高いことが必要です。古くなったからというレベルでは、話になりません。
ただ、「建て替えの必要性が相当高い」か否かは、明確な基準はなく、裁判官の主観によって結論が異なることが珍しくありません。一審で負けたが控訴審で勝った、あるいはその逆のケースもあります。
また、この建て替えの必要性は、地理的条件によっても左右されます。都心、あるいは都心に近い地域では、やはり国策として、老朽建物の新築化をすすめる必要がある、こういう場所では、けっこう、簡単に建て替えの必要性を認めます。

第2に、建て替えの必要性が相当高いとしても、さらに、諸般の事情を考慮する必要があります。その事情としては、以下の事情が考えられます。
1、 築何年か(築後30年以上というものが多い)
2、 建物の老朽化の程度 
3、 建築基準法・消防法の不適合
4、 消防からの改善指導があったか
5、 土地の高度利用の必要性、容積率・建坪率の変化
6、 借家人が他に所有不動産を有しているか
7、 家賃は相場に比べて安いか
8、 賃借人は投下資本は回収したか
9、 賃借人が営業を継続する必要性
10、 賃借人が他に代替店舗を求めることが容易か
11、 他のテナントはまだいるのか
12、 周囲の利用状況
13、 立退き交渉における事情
14、 交渉経過
15、 賃借人の背信行為

以上をもとに、判例を検討してみましょう。

事例1
東京地裁平成8年5月20日、判例時報1593-82のケースは、場所が吉祥寺でJR吉祥寺駅前です。築35年で雨漏れがひどく、消防署からも改善指導が出ている。借主が投下資本を回収できるよ、あえて相場よりかなり安い賃料で貸していた。こういうケースで立ち退き料を家賃3年分の4000万円で解約の正当性を認めました。

事例2
東京地裁平成8年3月15日、判例時報1583-78のケースです。場所は、麹町。既存不適格建物になっていること、外壁にひびが入り、エレベーターも老朽化していることが建て替えの必要性としてあげられていますが、この程度の必要性は、古い建物なら当然の話で、格別、高度の建て替えの必要性があるとは思えません。
ただ、賃借人は、事務所として利用しているだけで、どうしてもこの場所でないとまずいという必要性はありません。しかも、このビルの入居者は、この賃借人を除いて全員退去済み。
そうなると、格別、退去できない事情もないわけです。また賃貸人は、示談交渉の過程で、なんと4000万円の立ち退き料を提示していますが、賃借人は、それでも明け渡しを拒否しています。
裁判所は、明け渡しを認め、しかも、立ち退き料を4000万円から800万円に減額しています。
賃借人の一連の態度に不信をいだいたのかもしれません。

事例3
東京地裁平成7年10月16日判例タイムズ919-163の判決です。
場所は新宿。JR新宿駅西口南口近く。建物自体の老朽化はそれほどでもないが、建物そのものが昭和35年建築の軽量鉄骨亜鉛メッキ鋼板葺3階建ビル。場所柄、こういう建物を存続させるべきではないと考えたんでしょう。ただし、立ち退き料は2億5000万円でした。(借家人は、営業廃止補償など借家権として14億を要求していたようです)。


 

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