ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
債務整理系事務所が、過払い金の次に狙いを定めていたのが更新料ビジネスだった。東京等では、賃貸借契約を更新する際、更新料を請求するのが慣習的に行われてきた。この更新料の請求が、消費者法に違反するのではないかと、問題になったのだ。現に、かなりの裁判所で、この更新料無効判決が出されるようになった。
そこで、債務整理系同系列の弁護士事務所が、過払い金事件の減少を見込んで、「更新料を取り戻そう!!」と、広告宣伝活動をするようになった。
ところが、ある最高裁判決を機に、この「更新料ビジネス」は、終焉した。
多くの零細大家さんは、ただでさえ、ローンの支払いに四苦八苦しているところに、「更新料は無効、過去に受領した更新料を返せ」となれば、資金繰りに窮し、倒産必須だったろう。
その判決というのが、平成23年7月15日付けの最高裁判決である。この判決は、更新料特約の有効性について判断したもので、大阪高裁段階の判断が分かれた3件の訴訟(2件は無効、1件は有効)についての判断である。
最高裁の判断は以下のとおりである。
1、更新料は、賃料の前払いや補充、賃貸借継続の対価という性質があり、合理性がある。
2.だから、あまりに高額すぎる場合以外は、消費者契約法10条に違反しない。
次の問題は、どういう場合が無効となるかであるが、以下の2点がポイントとなる。
第一要件
更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している。
最高裁判例を踏まえて以下の対処が必要になる。
(1)契約前に更新料があることを明確にして募集する。
(2)重要事項説明書にも明確に記載する。
(3)できれば、重要事項説明書以外にも更新料について明確な説明書を作成するのも有効である。たとえば、更新料や礼金を含めた実質賃料を、事前に示すことが有効だろう。
第2要件
更新料が高額過ぎない。
実務上は、これが今後の論争点になるだろう。
最高裁に継続した案件は、以下の3つである。
1、礼金 6万円、月額家賃 4万5000円で、更新料 1年ごと10万円
2、月額家賃3万8000円で、更新料1年ごと7万6000円
3、月額賃料5万2000円、共益費2000円。礼金は契約当初の4ヶ月
分、更新料を2年ごとに旧賃料の2か月分
これらは、消費者契約法10条違反にならず、全て有効とされた。
これによれば、関東で慣行とされている、2年に1度、1~2ヶ月分の更新料徴収は消費者契約法10条違反になることはない。
しかし、このレベルを超えて更新料を取得するときは、更新料が高額過ぎるか否かで、新たな問題を生ずることになる。
[高額過ぎるか否かについての最近の判例]
1、大阪高判 平24・7・27は、「このレベルを超えて更新料を取得した」ケースである。
2、同判決で、以下の通り判断し、賃料の3.12 か月分に相当する更新料特約は、かろうじて、消費者契約法10 条に違反しないとして更新料の返還請求を棄却した。なお、本事例の原審は更新料特約そのものは否定せず、高額に過ぎる部分を無効としていた。
「かろうじて」と判断しているところを示すと、このあたりが更新料の限界値なのかもしれない。
2、契約内容は、以下のとおりである。
①ワンルームマンション
②4年間賃借して居住
③礼金18万円、敷金10万円、賃料月額4万8000円、共益費月額5000円(平成20年1月分からはこの他に衛生費月額650円を徴収。)
④契約期間は1年
⑤更新料は15万円であり、賃料の3.125か月分(平成19年12月の更新以降は更新手数料1万0500円も加えると約3.344か月分。)に相当
⑥賃貸人の年間の取得額72万6000円(平成19年まで。4万8000円×12+15万)の2割以上を占める
⑦賃料月額4万8000円に対し、実質賃料額も月6万0500円と約定上の賃料月額の約1.26倍
3、裁判所の判断は、以下の通り。
①本件更新料特約は、その賃料額や更新期間に照らし、やや高額であることは否めない。しかしながら
②契約期間が1年に対し、その礼金は18万円とされており、本件更新料はこれより低額である
③本件物件の前記の実質賃料、礼金が、本件物件や立地条件(駅に近い等)のであったとまではいえない
④したがって、特約による更新料が高額に過ぎるもので前記の特段の事情が存するとまでは、かろうじていえない。
⑤このようにみてくると、本件更新料条項を消費者契約法10条により無効ということまではできない。
[大家としての対策]
貸借契約書には一義的かつ具体的に更新料特約を記載することが必要だが、それだけでは不十分で、賃借人が、当該物件と他物件とを比較考量できるよう賃借人に更新料について十分な説明を尽くす必要がある。
裁判を起こす人の中には訴訟マニアみたいな人もいるが、「一見お得そうに見えて、結局高い家賃じゃないのか、騙された」という人もいる。
大家としては、「できるだけ高い賃料を得たい」、反面、「できるだけ空き室率を少なくしたい」という観点から、賃料を低めに見せながら、実質賃料を高くしたいと考えたくなるのはわかるが、それはトラブルに発展するリスクがある。

にほんブログ村
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
債務整理系事務所が、過払い金の次に狙いを定めていたのが更新料ビジネスだった。東京等では、賃貸借契約を更新する際、更新料を請求するのが慣習的に行われてきた。この更新料の請求が、消費者法に違反するのではないかと、問題になったのだ。現に、かなりの裁判所で、この更新料無効判決が出されるようになった。
そこで、債務整理系同系列の弁護士事務所が、過払い金事件の減少を見込んで、「更新料を取り戻そう!!」と、広告宣伝活動をするようになった。
ところが、ある最高裁判決を機に、この「更新料ビジネス」は、終焉した。
多くの零細大家さんは、ただでさえ、ローンの支払いに四苦八苦しているところに、「更新料は無効、過去に受領した更新料を返せ」となれば、資金繰りに窮し、倒産必須だったろう。
その判決というのが、平成23年7月15日付けの最高裁判決である。この判決は、更新料特約の有効性について判断したもので、大阪高裁段階の判断が分かれた3件の訴訟(2件は無効、1件は有効)についての判断である。
最高裁の判断は以下のとおりである。
1、更新料は、賃料の前払いや補充、賃貸借継続の対価という性質があり、合理性がある。
2.だから、あまりに高額すぎる場合以外は、消費者契約法10条に違反しない。
次の問題は、どういう場合が無効となるかであるが、以下の2点がポイントとなる。
第一要件
更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している。
最高裁判例を踏まえて以下の対処が必要になる。
(1)契約前に更新料があることを明確にして募集する。
(2)重要事項説明書にも明確に記載する。
(3)できれば、重要事項説明書以外にも更新料について明確な説明書を作成するのも有効である。たとえば、更新料や礼金を含めた実質賃料を、事前に示すことが有効だろう。
第2要件
更新料が高額過ぎない。
実務上は、これが今後の論争点になるだろう。
最高裁に継続した案件は、以下の3つである。
1、礼金 6万円、月額家賃 4万5000円で、更新料 1年ごと10万円
2、月額家賃3万8000円で、更新料1年ごと7万6000円
3、月額賃料5万2000円、共益費2000円。礼金は契約当初の4ヶ月
分、更新料を2年ごとに旧賃料の2か月分
これらは、消費者契約法10条違反にならず、全て有効とされた。
これによれば、関東で慣行とされている、2年に1度、1~2ヶ月分の更新料徴収は消費者契約法10条違反になることはない。
しかし、このレベルを超えて更新料を取得するときは、更新料が高額過ぎるか否かで、新たな問題を生ずることになる。
[高額過ぎるか否かについての最近の判例]
1、大阪高判 平24・7・27は、「このレベルを超えて更新料を取得した」ケースである。
2、同判決で、以下の通り判断し、賃料の3.12 か月分に相当する更新料特約は、かろうじて、消費者契約法10 条に違反しないとして更新料の返還請求を棄却した。なお、本事例の原審は更新料特約そのものは否定せず、高額に過ぎる部分を無効としていた。
「かろうじて」と判断しているところを示すと、このあたりが更新料の限界値なのかもしれない。
2、契約内容は、以下のとおりである。
①ワンルームマンション
②4年間賃借して居住
③礼金18万円、敷金10万円、賃料月額4万8000円、共益費月額5000円(平成20年1月分からはこの他に衛生費月額650円を徴収。)
④契約期間は1年
⑤更新料は15万円であり、賃料の3.125か月分(平成19年12月の更新以降は更新手数料1万0500円も加えると約3.344か月分。)に相当
⑥賃貸人の年間の取得額72万6000円(平成19年まで。4万8000円×12+15万)の2割以上を占める
⑦賃料月額4万8000円に対し、実質賃料額も月6万0500円と約定上の賃料月額の約1.26倍
3、裁判所の判断は、以下の通り。
①本件更新料特約は、その賃料額や更新期間に照らし、やや高額であることは否めない。しかしながら
②契約期間が1年に対し、その礼金は18万円とされており、本件更新料はこれより低額である
③本件物件の前記の実質賃料、礼金が、本件物件や立地条件(駅に近い等)のであったとまではいえない
④したがって、特約による更新料が高額に過ぎるもので前記の特段の事情が存するとまでは、かろうじていえない。
⑤このようにみてくると、本件更新料条項を消費者契約法10条により無効ということまではできない。
[大家としての対策]
貸借契約書には一義的かつ具体的に更新料特約を記載することが必要だが、それだけでは不十分で、賃借人が、当該物件と他物件とを比較考量できるよう賃借人に更新料について十分な説明を尽くす必要がある。
裁判を起こす人の中には訴訟マニアみたいな人もいるが、「一見お得そうに見えて、結局高い家賃じゃないのか、騙された」という人もいる。
大家としては、「できるだけ高い賃料を得たい」、反面、「できるだけ空き室率を少なくしたい」という観点から、賃料を低めに見せながら、実質賃料を高くしたいと考えたくなるのはわかるが、それはトラブルに発展するリスクがある。

にほんブログ村
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
PR
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
建物賃貸借契約期間中の賃料減額請求・増額請求は、そう簡単には認められません。
普通、賃貸借契約には、契約期間中と言えども、賃料が不相当になったときは、賃料の増減を請求できると記載してあります。国土交通省の標準賃貸借契約書にも、そのように記載してあるはずです。
ただ、実際には、期間中に賃料の増減を請求する当事者は、ほとんどいません。というのは、建物賃貸借契約期間は、普通、2年か3年で、更新時に賃料の改定を行うからです。
ただ、それでも、契約を更新しておきながら、突然、賃料の値上げを要求したり値下げをする例があります。最近は、大家さんの突然の値上げ要求が多いですね。
大家さんとしては、空き室があると不安になる。あるいは、近所に新しい賃貸マンションが建ったので、入居者が更新してくれるか不安になる。それで、つい安値で貸したり更新してしまう。しかし、いったん、更新してしまうと「なんでこんなに安く貸してしまったんだろう」と後悔する。そこで契約書を見ると「契約期間中でも値上げできる」と書いてある。「これだ!!」とばかりに、その契約文言にとびつき、不動産屋を通じて値上げ要求をする。不動産屋さんも、お得さんだけに面と向かって「大家さん、それ非常識ですよ」なんて言えず、まずいなぁと思いながら、一応、入居者に伝える。入居者は、びっくりして、「とんでもない大家だ」と怒る。かくて、大家さんと入居者の関係が悪化する。
一応、借地借家法では、
「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
と規定してあります。
つまり、
1、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
2、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
3、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
は、契約期間中と言えども、賃料の増減を請求できることになっています。しかし、これらの事情は、契約当時、予想できなかったことが必要で、普通は2,3年の間に、1~3の事情が生じたとしても、「契約当時、予想できなかった」とは言えないでしょう。
最近の判例では、オフィスを借りている賃借人からの、契約期間中の賃料減額請求が棄却された例があります(東京高裁H24.7.19)
言われるままにハイハイと更新したけど、周囲を眺めると、どう考えても自分のところの賃料が高すぎる、あるいは、引っ越し費用を考えると、ちょっと高いと思ったけど更新した、しかし、やっぱり相場からして高すぎる。こういう場合に、賃借人から賃料減額請求がされたるわけです。
この裁判では、一審も二審も、契約更改時の想定範囲内だとして、賃料が相場より高くても値下げは駄目だと判断しました。そりゃそうでしょうね。
なお、この判例で注目すべきは、以下の点です。
「賃料相場が下落傾向にある状況下でも、建物賃借人にとって、新規に同等の建物を賃借する場合に比べて、従来賃借していた建物を継続して使用する方が、新規に契約を締結するために必要な費用や移転の経費を要しない点において経済的に有利であることは明らかであり、したがって、賃借人の利益の観点からも、賃貸借契約を継続する場合の賃料の額が新規に賃貸借契約を締結する場合
の賃料より相応に高いものとなることについては経済的な合理性があるといえる。」
「国土交通省が定める不動産鑑定評価基準においても、建物の継続賃料の鑑定を行うについて、賃料相場が下落傾向にある場合について、新規賃料を求める場合に準ずる鑑定評価を行うべき旨の記載はない。」

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
建物賃貸借契約期間中の賃料減額請求・増額請求は、そう簡単には認められません。
普通、賃貸借契約には、契約期間中と言えども、賃料が不相当になったときは、賃料の増減を請求できると記載してあります。国土交通省の標準賃貸借契約書にも、そのように記載してあるはずです。
ただ、実際には、期間中に賃料の増減を請求する当事者は、ほとんどいません。というのは、建物賃貸借契約期間は、普通、2年か3年で、更新時に賃料の改定を行うからです。
ただ、それでも、契約を更新しておきながら、突然、賃料の値上げを要求したり値下げをする例があります。最近は、大家さんの突然の値上げ要求が多いですね。
大家さんとしては、空き室があると不安になる。あるいは、近所に新しい賃貸マンションが建ったので、入居者が更新してくれるか不安になる。それで、つい安値で貸したり更新してしまう。しかし、いったん、更新してしまうと「なんでこんなに安く貸してしまったんだろう」と後悔する。そこで契約書を見ると「契約期間中でも値上げできる」と書いてある。「これだ!!」とばかりに、その契約文言にとびつき、不動産屋を通じて値上げ要求をする。不動産屋さんも、お得さんだけに面と向かって「大家さん、それ非常識ですよ」なんて言えず、まずいなぁと思いながら、一応、入居者に伝える。入居者は、びっくりして、「とんでもない大家だ」と怒る。かくて、大家さんと入居者の関係が悪化する。
一応、借地借家法では、
「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
と規定してあります。
つまり、
1、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
2、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
3、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
は、契約期間中と言えども、賃料の増減を請求できることになっています。しかし、これらの事情は、契約当時、予想できなかったことが必要で、普通は2,3年の間に、1~3の事情が生じたとしても、「契約当時、予想できなかった」とは言えないでしょう。
最近の判例では、オフィスを借りている賃借人からの、契約期間中の賃料減額請求が棄却された例があります(東京高裁H24.7.19)
言われるままにハイハイと更新したけど、周囲を眺めると、どう考えても自分のところの賃料が高すぎる、あるいは、引っ越し費用を考えると、ちょっと高いと思ったけど更新した、しかし、やっぱり相場からして高すぎる。こういう場合に、賃借人から賃料減額請求がされたるわけです。
この裁判では、一審も二審も、契約更改時の想定範囲内だとして、賃料が相場より高くても値下げは駄目だと判断しました。そりゃそうでしょうね。
なお、この判例で注目すべきは、以下の点です。
「賃料相場が下落傾向にある状況下でも、建物賃借人にとって、新規に同等の建物を賃借する場合に比べて、従来賃借していた建物を継続して使用する方が、新規に契約を締結するために必要な費用や移転の経費を要しない点において経済的に有利であることは明らかであり、したがって、賃借人の利益の観点からも、賃貸借契約を継続する場合の賃料の額が新規に賃貸借契約を締結する場合
の賃料より相応に高いものとなることについては経済的な合理性があるといえる。」
「国土交通省が定める不動産鑑定評価基準においても、建物の継続賃料の鑑定を行うについて、賃料相場が下落傾向にある場合について、新規賃料を求める場合に準ずる鑑定評価を行うべき旨の記載はない。」

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
住宅用賃貸物件の場合、通常の損耗を借家人に負担させるのは難しい。特約があればいいけど、その特約も、単に特約があるだけでは駄目である。例えば、入居者に「うちは、本来は借家人が負担する必要のない壁紙の張り替えとかを、特に入居者に負担してもらいます」とか、そういう説明をする必要があるわけで、こんな説明する勇気のある大家は、まずいないだろうから、現実には、大家は、特別な損耗以外は、入居者には請求できない。
しかし、これは、居住用の場合の解釈で、事業用賃貸借の原状回復義務は、これとは全く異なる。事業用賃貸借の原状回復義務は、特約があれば、通常損耗も入居者に負担させることができる。そして、ほとんどの契約が通常損耗も入居者に負担させることになっているから、現実には、事業用賃貸借の場合、入居者は、通常損耗について原状回復義務を負担することになる。
なぜ、事業用と居住用で、原状回復義務に、これほど大きな違いがあるかというと、居住用の場合は、事業主対消費者という図式が成り立つのに対し、事業用賃貸借の場合は、事業主対事業主という図式が成り立つからである。
前者の場合は、消費者契約法の理念に基づき、原状回復義務を特別な損耗に限定する理由がある。しかし、後者の場合は、力関係は対等と考えるから、原状回復義務を、入居者に幅広く負担させて問題はない。
これは、不動産賃貸業務に携わる人には常識的事項だが、意外と世間には知られていない。弁護士にも、この違いを認識できていない弁護士がいたりする。
もっとも、不動産業者には、あまりにも当たり前すぎて、事業用の場合は。特約がなくても通常損耗は入居者の負担だと思い込んでいる人が、少なからずいる。
以下は、東京高 等裁判所平成12年12月27日判決の要旨である。
① 本件賃貸借契約における原状回復条項では、「本契約が終了するときは、賃借人は賃貸借期間終了までに造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」、「本条に定める原状回復の為の費用の支払は、保証金償却とは別途の負担とする。」等と記載されている。オフィスビルの原状回復費用は、賃借人の使用方法によっても異なり、損耗状況によっては相当高額になることがあるが、使用方法により異なる費用負担は賃借人が負担する事がs相当であるので、一般にこの様な特約がなされる。
② 賃借人の入居期間は賃貸人に予測することは困難である為、適正な原状回復費用をあらかじめ賃料に含めて徴収する事は現実的には不可能であり、賃借人が退去する際に、賃借時と同等の状態まで原状回復させる義務を負わせる旨の特約を定める事は、経済的にも合理性があると考えられる。
③ 建設省( 現、国土交通省) の「賃貸住宅標準契約書」は、賃借人は、通常損耗を除き原状回復しなければならない旨規定しているが、この条項は居住者である賃借人の保護を目的とするものであり、市場原理と経済合理性の支配するオフィスビルの賃貸借には妥当するとは考えられない。X らは、本件原状回復条項に基づき、通常損耗をも除去し、賃借当時の状態に原状回復して返還する義務がある。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
住宅用賃貸物件の場合、通常の損耗を借家人に負担させるのは難しい。特約があればいいけど、その特約も、単に特約があるだけでは駄目である。例えば、入居者に「うちは、本来は借家人が負担する必要のない壁紙の張り替えとかを、特に入居者に負担してもらいます」とか、そういう説明をする必要があるわけで、こんな説明する勇気のある大家は、まずいないだろうから、現実には、大家は、特別な損耗以外は、入居者には請求できない。
しかし、これは、居住用の場合の解釈で、事業用賃貸借の原状回復義務は、これとは全く異なる。事業用賃貸借の原状回復義務は、特約があれば、通常損耗も入居者に負担させることができる。そして、ほとんどの契約が通常損耗も入居者に負担させることになっているから、現実には、事業用賃貸借の場合、入居者は、通常損耗について原状回復義務を負担することになる。
なぜ、事業用と居住用で、原状回復義務に、これほど大きな違いがあるかというと、居住用の場合は、事業主対消費者という図式が成り立つのに対し、事業用賃貸借の場合は、事業主対事業主という図式が成り立つからである。
前者の場合は、消費者契約法の理念に基づき、原状回復義務を特別な損耗に限定する理由がある。しかし、後者の場合は、力関係は対等と考えるから、原状回復義務を、入居者に幅広く負担させて問題はない。
これは、不動産賃貸業務に携わる人には常識的事項だが、意外と世間には知られていない。弁護士にも、この違いを認識できていない弁護士がいたりする。
もっとも、不動産業者には、あまりにも当たり前すぎて、事業用の場合は。特約がなくても通常損耗は入居者の負担だと思い込んでいる人が、少なからずいる。
以下は、東京高 等裁判所平成12年12月27日判決の要旨である。
① 本件賃貸借契約における原状回復条項では、「本契約が終了するときは、賃借人は賃貸借期間終了までに造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」、「本条に定める原状回復の為の費用の支払は、保証金償却とは別途の負担とする。」等と記載されている。オフィスビルの原状回復費用は、賃借人の使用方法によっても異なり、損耗状況によっては相当高額になることがあるが、使用方法により異なる費用負担は賃借人が負担する事がs相当であるので、一般にこの様な特約がなされる。
② 賃借人の入居期間は賃貸人に予測することは困難である為、適正な原状回復費用をあらかじめ賃料に含めて徴収する事は現実的には不可能であり、賃借人が退去する際に、賃借時と同等の状態まで原状回復させる義務を負わせる旨の特約を定める事は、経済的にも合理性があると考えられる。
③ 建設省( 現、国土交通省) の「賃貸住宅標準契約書」は、賃借人は、通常損耗を除き原状回復しなければならない旨規定しているが、この条項は居住者である賃借人の保護を目的とするものであり、市場原理と経済合理性の支配するオフィスビルの賃貸借には妥当するとは考えられない。X らは、本件原状回復条項に基づき、通常損耗をも除去し、賃借当時の状態に原状回復して返還する義務がある。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
大家業をやっていると、どうしても何年かに一度は家賃滞納問題に直面する。大規模に賃貸業をしている大家さんなんかは、何年に一度のレベルではなく、頻繁に直面する問題だろう。
で、まず仲介した不動産屋に相談に行く。不動産屋に行っても、そのマンションとかビル一棟の管理をゆだねている場合なんかは、それなりに対応してくれるが、その一室の仲介しか頼んだことがない大家さんなんかは、たいていの仲介業者は相手にしない。「うちは、仲介だけの会社なんで」。売るとなったら、途端に態度が変わりますが。
困ったアナタは、弁護士のところに相談に行く。弁護士は、「お金はかかりますが、確実に追い出せます」と自信ありげに宣言する。そこで、アナタは、おそるおそる弁護士に尋ねる。「あのう、費用はいくらくらいかかるんでしょうか?」弁護士は答える。「着手金が○万円、追い出したら同額、強制執行するなら○万円、保全をかけるなら、さらに○万円。」そしてダメ押し的にこう宣言する。「あと、立会人という強制執行の現場をしてくれる人に○○○万円」。
アナタは、頭の中で計算する。「軽く100万円超えるじゃないか!!この家の家賃は、5万円だぞ!!」。アナタは「考えてみます」といって、事務所を早々に退散する。
そこでアナタに悪魔がささやく。「悪いのは借りている野郎じゃないか実力で追い出してやる」。「追い出し専門業者がいたな、あそこに頼もう。」
こういうことを実行してしまった大家さんがいる。これに対し東京地裁H24.3。9判決が、こういう大家さんに厳しい判断を下している。
賃借していたマンションの管理を行っていた会社から、家賃の滞納を理由として同マンションからの退去を強制され、家財等も置き去りにしたまま追い出された原告が、会社に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき原告が被った損害相当額の支払を求め、裁判所は、家財の廃棄処分による損害額100万円、慰謝料100万円、弁護士費用20万円の支払いを命じたのだ。(控訴審で100万円で和解)。
事案は、家賃・共益費合計6万円だから、3年分近い家賃と同額の賠償を命じられたことになる。
もし、アナタが、懲りずに、これを繰り返すなら、警察が今度は動くだろう。
家賃滞納者の処理は、費用がかかっても、やはり弁護士に頼むしかないのだ。
アナタは考える。「それなら、我々零細大家さんは、どうしたらよいんだ。誰も守ってくれないのか」
結論から言うと、冷たい言い方だが、誰も、アナタを保護しない。こういう家賃滞納トラブルは、どの大家さんにもつきもので、そういうリスクがあることを見込んで不動産賃貸業を営まなければならない。それが資本主義社会というものだ。
投資額の小さなワンルームマンションだと、少し修繕するだけでひと月分の家賃は消え、水周りでもおかしくなったら、すぐに1年分の家賃はふっとび、家賃滞納者が現れたら何年分かの家賃がとぶ。それでも、なお、不動産投資を継続することにうまみがあるか、不動産賃貸業は、そういうリスクとなりあわせの業務であり、一度手に入れたら、寝ているだけでお金が入ってくるような仕事ではない、と覚悟することだ。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
大家業をやっていると、どうしても何年かに一度は家賃滞納問題に直面する。大規模に賃貸業をしている大家さんなんかは、何年に一度のレベルではなく、頻繁に直面する問題だろう。
で、まず仲介した不動産屋に相談に行く。不動産屋に行っても、そのマンションとかビル一棟の管理をゆだねている場合なんかは、それなりに対応してくれるが、その一室の仲介しか頼んだことがない大家さんなんかは、たいていの仲介業者は相手にしない。「うちは、仲介だけの会社なんで」。売るとなったら、途端に態度が変わりますが。
困ったアナタは、弁護士のところに相談に行く。弁護士は、「お金はかかりますが、確実に追い出せます」と自信ありげに宣言する。そこで、アナタは、おそるおそる弁護士に尋ねる。「あのう、費用はいくらくらいかかるんでしょうか?」弁護士は答える。「着手金が○万円、追い出したら同額、強制執行するなら○万円、保全をかけるなら、さらに○万円。」そしてダメ押し的にこう宣言する。「あと、立会人という強制執行の現場をしてくれる人に○○○万円」。
アナタは、頭の中で計算する。「軽く100万円超えるじゃないか!!この家の家賃は、5万円だぞ!!」。アナタは「考えてみます」といって、事務所を早々に退散する。
そこでアナタに悪魔がささやく。「悪いのは借りている野郎じゃないか実力で追い出してやる」。「追い出し専門業者がいたな、あそこに頼もう。」
こういうことを実行してしまった大家さんがいる。これに対し東京地裁H24.3。9判決が、こういう大家さんに厳しい判断を下している。
賃借していたマンションの管理を行っていた会社から、家賃の滞納を理由として同マンションからの退去を強制され、家財等も置き去りにしたまま追い出された原告が、会社に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき原告が被った損害相当額の支払を求め、裁判所は、家財の廃棄処分による損害額100万円、慰謝料100万円、弁護士費用20万円の支払いを命じたのだ。(控訴審で100万円で和解)。
事案は、家賃・共益費合計6万円だから、3年分近い家賃と同額の賠償を命じられたことになる。
もし、アナタが、懲りずに、これを繰り返すなら、警察が今度は動くだろう。
家賃滞納者の処理は、費用がかかっても、やはり弁護士に頼むしかないのだ。
アナタは考える。「それなら、我々零細大家さんは、どうしたらよいんだ。誰も守ってくれないのか」
結論から言うと、冷たい言い方だが、誰も、アナタを保護しない。こういう家賃滞納トラブルは、どの大家さんにもつきもので、そういうリスクがあることを見込んで不動産賃貸業を営まなければならない。それが資本主義社会というものだ。
投資額の小さなワンルームマンションだと、少し修繕するだけでひと月分の家賃は消え、水周りでもおかしくなったら、すぐに1年分の家賃はふっとび、家賃滞納者が現れたら何年分かの家賃がとぶ。それでも、なお、不動産投資を継続することにうまみがあるか、不動産賃貸業は、そういうリスクとなりあわせの業務であり、一度手に入れたら、寝ているだけでお金が入ってくるような仕事ではない、と覚悟することだ。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
Q 賃貸人が破産した場合、賃貸借契約は解除できますか
A 原則としてできません。
双務契約という契約があります。双務契約というのは、互いが債権と債務を持ちあう契約です。つまり、お互いが互いにギブアンドテイクの関係ですね。
例えば、AさんがBさんに不動産を売却する契約を結んだ場合、AさんはBさんに不動産を売る義務を負うと同時に売買代金を請求する権利を持ちます。Bさんは、売買代金を支払う義務を負うと同時に不動産を購入する権利を負います。資本主義社会である以上、契約というのは、ほとんどがギブアンドテイクですから、契約というのは、普通は双務契約ということになります。
こういう関係にある契約関係の場合、破産管財人は、双方が未履行なら、契約を解除できることになっています。(53Ⅰ)。
そうなると、賃貸人が破産した場合も、同様に管財人は賃貸借契約を解除して賃借人を追い出すことが可能になります。賃貸借でも、賃借人は賃料を支払う義務と居住する権利を持ち、賃貸には賃料を請求する権利と居住する義務がある双務契約だからです。
しかし、大家さんの破産なんて、賃借人には何の関係もない話で、大家さんが破産したら家をお追い出されるなんて、誰が考えてもおかしい話です。そこで、こういう場合は、契約を解除できないという最高裁判例があり、以来、実務では、賃貸人が破産しても契約は解除できないというのは、常識的な運用になっています。
それじゃあ、こういう場合、管財人はどうするかというと、その不動産をオーナーチェンジ物件として売却するしかありません。もっとも、オーバーローンの場合は、その売却も難しいから、最終的には財団放棄になるでしょう。
なお、抵当権者が賃料を差し押さえていた場合なんかは、賃貸人が破産しても、賃料債権は抵当権者が全部持っていってしまうんで、管財人は、管理費の支払いもできなくなります。こういう場合も、財団放棄になるでしょう。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
Q 賃貸人が破産した場合、賃貸借契約は解除できますか
A 原則としてできません。
双務契約という契約があります。双務契約というのは、互いが債権と債務を持ちあう契約です。つまり、お互いが互いにギブアンドテイクの関係ですね。
例えば、AさんがBさんに不動産を売却する契約を結んだ場合、AさんはBさんに不動産を売る義務を負うと同時に売買代金を請求する権利を持ちます。Bさんは、売買代金を支払う義務を負うと同時に不動産を購入する権利を負います。資本主義社会である以上、契約というのは、ほとんどがギブアンドテイクですから、契約というのは、普通は双務契約ということになります。
こういう関係にある契約関係の場合、破産管財人は、双方が未履行なら、契約を解除できることになっています。(53Ⅰ)。
そうなると、賃貸人が破産した場合も、同様に管財人は賃貸借契約を解除して賃借人を追い出すことが可能になります。賃貸借でも、賃借人は賃料を支払う義務と居住する権利を持ち、賃貸には賃料を請求する権利と居住する義務がある双務契約だからです。
しかし、大家さんの破産なんて、賃借人には何の関係もない話で、大家さんが破産したら家をお追い出されるなんて、誰が考えてもおかしい話です。そこで、こういう場合は、契約を解除できないという最高裁判例があり、以来、実務では、賃貸人が破産しても契約は解除できないというのは、常識的な運用になっています。
それじゃあ、こういう場合、管財人はどうするかというと、その不動産をオーナーチェンジ物件として売却するしかありません。もっとも、オーバーローンの場合は、その売却も難しいから、最終的には財団放棄になるでしょう。
なお、抵当権者が賃料を差し押さえていた場合なんかは、賃貸人が破産しても、賃料債権は抵当権者が全部持っていってしまうんで、管財人は、管理費の支払いもできなくなります。こういう場合も、財団放棄になるでしょう。

にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」