ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
立ち退き料の金額は、どうやって計算するのでしょう?これについては、明確な計算式はなく、どの案件にも共通する基準というのもありません。もっぱら、裁判官の「直観」によっているのが現状です。
まず「立ち退き料」とは、なんでしょう?
これは、立ち退くことによって借家人が受ける不利益を補填する補償です。そこで、
第1に、引越するための費用です。引越業者に頼む費用なんかがその典型です。
しかし、それ以外にも、次の移転先の敷金、保証金、不動産仲介費用なども、引越のための費用です。
それと大きいのが、差額賃料です。引っ越し先の賃料との差額分を大家に負担させるのか、負担させるとしてもどこまで負担させるか。
第2に、借家人が立ち退くことで失う利益・権利の補償も重視されます。その場所で築いた営業権を失うことによる損失、休業することによる損失、予想される減収等が、補償の対象になります。
第3に、借家権価格という観点から立ち退き料を算定する場合もあります。
この借家権価格は、土地価格に借地割合に借家割合を掛け、これに建物の40%の価格を足して算出します。これを割合方式計算式といいます。
借地権割は、税務署の路線価図に定められています。東京を例にとると、住居地区ではおおむね6~7割、商業地区では、おおむね7~8割です。
また、借家権割合は、相続評価基準では、土地の借地権割合の3割とされており、たいていは、この割合で計算します。
なお、それ以外に、少数ではありますが、以下の考え方もあります。
差益還元方式(差額賃料還元方式)
今借りたら払う賃料と現実に支払っている賃料の差額を賃借人の権利と考え、この権利を金利としてとらえ、そこから元本に当たる借家権価格を算出しようというものです。
この方式は、高度経済成長の時代、家賃が右肩上がりに上がり続けましたが、そういう時代には妥当します。しかし、バブル崩壊以降、家賃が低迷している現状では、適用範囲は制限されるでしょう。
比準方式計算式
実際の取引事例の価格を基準に当該借家の価格を出そうというものです。しかし、不動産売買と異なり、参考事例は、そうあるものではないし、立ち退き料は個別性が強いので、単純な比較は困難です。
判例
判例を見ると、数億円という、あっと驚くような立ち退き料が認められていますが、その判例が何時頃の判例かに注意する必要があります。
バブル経済時代の判例は参考になりません、
今後、建て替え予定の建物を貸すときの注意点
新借地借家法では、取り壊し予定の建物については「確定期限付きの賃貸借」として、期限が来れば正当事由の有無や立退料の支払を要せず、借家契約を終了させこがことが出来ます。
契約書は公正証書にする必要はありませんが、1年未満の期間は認められません。また、取り壊し予定は「法令または契約で」一定期間経過後に取り壊しが明らかな場合に限られます。また、建物を取り壊す理由となる事情を契約書などの書面で明確に記載しなくてはなりません。
貸主個人の単なる予定では、認められません。
この要件に当てはまらないない場合はやはり従来通り「一時使用」として契約します。

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図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
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立ち退き料の金額は、どうやって計算するのでしょう?これについては、明確な計算式はなく、どの案件にも共通する基準というのもありません。もっぱら、裁判官の「直観」によっているのが現状です。
まず「立ち退き料」とは、なんでしょう?
これは、立ち退くことによって借家人が受ける不利益を補填する補償です。そこで、
第1に、引越するための費用です。引越業者に頼む費用なんかがその典型です。
しかし、それ以外にも、次の移転先の敷金、保証金、不動産仲介費用なども、引越のための費用です。
それと大きいのが、差額賃料です。引っ越し先の賃料との差額分を大家に負担させるのか、負担させるとしてもどこまで負担させるか。
第2に、借家人が立ち退くことで失う利益・権利の補償も重視されます。その場所で築いた営業権を失うことによる損失、休業することによる損失、予想される減収等が、補償の対象になります。
第3に、借家権価格という観点から立ち退き料を算定する場合もあります。
この借家権価格は、土地価格に借地割合に借家割合を掛け、これに建物の40%の価格を足して算出します。これを割合方式計算式といいます。
借地権割は、税務署の路線価図に定められています。東京を例にとると、住居地区ではおおむね6~7割、商業地区では、おおむね7~8割です。
また、借家権割合は、相続評価基準では、土地の借地権割合の3割とされており、たいていは、この割合で計算します。
なお、それ以外に、少数ではありますが、以下の考え方もあります。
差益還元方式(差額賃料還元方式)
今借りたら払う賃料と現実に支払っている賃料の差額を賃借人の権利と考え、この権利を金利としてとらえ、そこから元本に当たる借家権価格を算出しようというものです。
この方式は、高度経済成長の時代、家賃が右肩上がりに上がり続けましたが、そういう時代には妥当します。しかし、バブル崩壊以降、家賃が低迷している現状では、適用範囲は制限されるでしょう。
比準方式計算式
実際の取引事例の価格を基準に当該借家の価格を出そうというものです。しかし、不動産売買と異なり、参考事例は、そうあるものではないし、立ち退き料は個別性が強いので、単純な比較は困難です。
判例
判例を見ると、数億円という、あっと驚くような立ち退き料が認められていますが、その判例が何時頃の判例かに注意する必要があります。
バブル経済時代の判例は参考になりません、
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新借地借家法では、取り壊し予定の建物については「確定期限付きの賃貸借」として、期限が来れば正当事由の有無や立退料の支払を要せず、借家契約を終了させこがことが出来ます。
契約書は公正証書にする必要はありませんが、1年未満の期間は認められません。また、取り壊し予定は「法令または契約で」一定期間経過後に取り壊しが明らかな場合に限られます。また、建物を取り壊す理由となる事情を契約書などの書面で明確に記載しなくてはなりません。
貸主個人の単なる予定では、認められません。
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図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
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賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
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定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
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建物が老朽化すれば、大家としては建て替えを計画します。そうでないと、際限なく、改修費が重なっていくし、もし何か事故でもおきたら、それこそ、破滅的な賠償責任を負担することになります。
しかし、建て替えたいからといって、借り主はおいそれとは出てくれません。建て替えの必要性だけでは賃貸借の解約・更新拒絶の正当事由とするのは不十分とされているからです。
しかし、都市部では、一部の借家人が立ち退きを拒否したために老朽化した建物が放置されるというのは、社会経済的にみて重大な問題があります。
そこで、要は、借家人の経済的損失を防げばいいんだから、その損失を防げるだけの立ち退き料を支払えば、解約を認めるべきだという考えが主張され、判例も、都心部の高度利用地区にある多く古い建物について建替えを必要とするケースでは、この流れに沿った判断をしています。
それでは、どういう場合に、立ち退き料を支払うことで賃貸借契約を解除できるでしょうか?
第1に、建て替えの必要性が相当高いことが必要です。古くなったからというレベルでは、話になりません。
ただ、「建て替えの必要性が相当高い」か否かは、明確な基準はなく、裁判官の主観によって結論が異なることが珍しくありません。一審で負けたが控訴審で勝った、あるいはその逆のケースもあります。
また、この建て替えの必要性は、地理的条件によっても左右されます。都心、あるいは都心に近い地域では、やはり国策として、老朽建物の新築化をすすめる必要がある、こういう場所では、けっこう、簡単に建て替えの必要性を認めます。
第2に、建て替えの必要性が相当高いとしても、さらに、諸般の事情を考慮する必要があります。その事情としては、以下の事情が考えられます。
1、 築何年か(築後30年以上というものが多い)
2、 建物の老朽化の程度
3、 建築基準法・消防法の不適合
4、 消防からの改善指導があったか
5、 土地の高度利用の必要性、容積率・建坪率の変化
6、 借家人が他に所有不動産を有しているか
7、 家賃は相場に比べて安いか
8、 賃借人は投下資本は回収したか
9、 賃借人が営業を継続する必要性
10、 賃借人が他に代替店舗を求めることが容易か
11、 他のテナントはまだいるのか
12、 周囲の利用状況
13、 立退き交渉における事情
14、 交渉経過
15、 賃借人の背信行為
以上をもとに、判例を検討してみましょう。
事例1
東京地裁平成8年5月20日、判例時報1593-82のケースは、場所が吉祥寺でJR吉祥寺駅前です。築35年で雨漏れがひどく、消防署からも改善指導が出ている。借主が投下資本を回収できるよ、あえて相場よりかなり安い賃料で貸していた。こういうケースで立ち退き料を家賃3年分の4000万円で解約の正当性を認めました。
事例2
東京地裁平成8年3月15日、判例時報1583-78のケースです。場所は、麹町。既存不適格建物になっていること、外壁にひびが入り、エレベーターも老朽化していることが建て替えの必要性としてあげられていますが、この程度の必要性は、古い建物なら当然の話で、格別、高度の建て替えの必要性があるとは思えません。
ただ、賃借人は、事務所として利用しているだけで、どうしてもこの場所でないとまずいという必要性はありません。しかも、このビルの入居者は、この賃借人を除いて全員退去済み。
そうなると、格別、退去できない事情もないわけです。また賃貸人は、示談交渉の過程で、なんと4000万円の立ち退き料を提示していますが、賃借人は、それでも明け渡しを拒否しています。
裁判所は、明け渡しを認め、しかも、立ち退き料を4000万円から800万円に減額しています。
賃借人の一連の態度に不信をいだいたのかもしれません。
事例3
東京地裁平成7年10月16日判例タイムズ919-163の判決です。
場所は新宿。JR新宿駅西口南口近く。建物自体の老朽化はそれほどでもないが、建物そのものが昭和35年建築の軽量鉄骨亜鉛メッキ鋼板葺3階建ビル。場所柄、こういう建物を存続させるべきではないと考えたんでしょう。ただし、立ち退き料は2億5000万円でした。(借家人は、営業廃止補償など借家権として14億を要求していたようです)。

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しかし、建て替えたいからといって、借り主はおいそれとは出てくれません。建て替えの必要性だけでは賃貸借の解約・更新拒絶の正当事由とするのは不十分とされているからです。
しかし、都市部では、一部の借家人が立ち退きを拒否したために老朽化した建物が放置されるというのは、社会経済的にみて重大な問題があります。
そこで、要は、借家人の経済的損失を防げばいいんだから、その損失を防げるだけの立ち退き料を支払えば、解約を認めるべきだという考えが主張され、判例も、都心部の高度利用地区にある多く古い建物について建替えを必要とするケースでは、この流れに沿った判断をしています。
それでは、どういう場合に、立ち退き料を支払うことで賃貸借契約を解除できるでしょうか?
第1に、建て替えの必要性が相当高いことが必要です。古くなったからというレベルでは、話になりません。
ただ、「建て替えの必要性が相当高い」か否かは、明確な基準はなく、裁判官の主観によって結論が異なることが珍しくありません。一審で負けたが控訴審で勝った、あるいはその逆のケースもあります。
また、この建て替えの必要性は、地理的条件によっても左右されます。都心、あるいは都心に近い地域では、やはり国策として、老朽建物の新築化をすすめる必要がある、こういう場所では、けっこう、簡単に建て替えの必要性を認めます。
第2に、建て替えの必要性が相当高いとしても、さらに、諸般の事情を考慮する必要があります。その事情としては、以下の事情が考えられます。
1、 築何年か(築後30年以上というものが多い)
2、 建物の老朽化の程度
3、 建築基準法・消防法の不適合
4、 消防からの改善指導があったか
5、 土地の高度利用の必要性、容積率・建坪率の変化
6、 借家人が他に所有不動産を有しているか
7、 家賃は相場に比べて安いか
8、 賃借人は投下資本は回収したか
9、 賃借人が営業を継続する必要性
10、 賃借人が他に代替店舗を求めることが容易か
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大家さんには、消費者契約法という法律は、あまりなじみのない法律だとおもいます。
これは、事業者が消費者と契約するときは、強い事業者から弱い消費者を守るため、事業者の行為にいろいろと規制をかけ、規制に違反した消費者には契約取消権を与えるものです。
この法律は、不動産を貸したり借りたりする不動産賃貸借契約にも適用があります。
こういう話を聞くと、ささやかな大家さんは、「え?私は事業主で借りる人は消費者なの?」と驚くかもしれません。しかし、法律の世界では、個別的事情を考慮せず、一律に、大家さんは「強い事業主」であり、入居者は「弱い消費者」なのです。たとえ大家さんが、業者の勧められるままに小さなアパート一棟を建てただけであり、入居者が自分で幅広く事業を営む経営者であってもです。
この消費者契約法は、主に更新料特約の有効性とか通常損耗を借主に負担させる特約の有効性で問題になるのですが、入居者募集の場合も適用されることに注意しなければなりません。
例1
実はその部屋に自殺者がいたが、それを隠して入居者と入居契約を締結した場合 消費者契約法4条2項で取り消されます。
消費者契約法4条2項
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
これを本件に適用すると
「入居希望者が、入居契約を締結するに際し、実は、その部屋で自殺した人がいたにもかかわらず、大家さんが、それを告げなかったため、入居希望者が、そういういわくつきの部屋でないことを知らずに入居の申し込みをしたら、それを取り消すことができます。
例2
契約が未定なのに、実は、近い場所に新駅ができて交通の便がよくなりますよと告げて入居契約を締結した場合は、消費者契約法4条1項2号によって取り消せます。
消費者契約法4条1項2号
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認」
これを本件に適用すると
消費者は、将来新駅が近所にできるか不明なのに、「できますよ」と断言され、
そのため「こりゃあ、便利になるな」と思い込んだら、入居契約を取り消せます。
なお、消費者契約法が適用されるのは、居住用の賃貸借契約の場合です。
店舗やオフィスの場合は、適用されません。法人契約やサブリーズ契約の場合も、適用されません。

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長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
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定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
「最新 図解で早わかり
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森公任 ・ 森元みのり 監修
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三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
大家さんには、消費者契約法という法律は、あまりなじみのない法律だとおもいます。
これは、事業者が消費者と契約するときは、強い事業者から弱い消費者を守るため、事業者の行為にいろいろと規制をかけ、規制に違反した消費者には契約取消権を与えるものです。
この法律は、不動産を貸したり借りたりする不動産賃貸借契約にも適用があります。
こういう話を聞くと、ささやかな大家さんは、「え?私は事業主で借りる人は消費者なの?」と驚くかもしれません。しかし、法律の世界では、個別的事情を考慮せず、一律に、大家さんは「強い事業主」であり、入居者は「弱い消費者」なのです。たとえ大家さんが、業者の勧められるままに小さなアパート一棟を建てただけであり、入居者が自分で幅広く事業を営む経営者であってもです。
この消費者契約法は、主に更新料特約の有効性とか通常損耗を借主に負担させる特約の有効性で問題になるのですが、入居者募集の場合も適用されることに注意しなければなりません。
例1
実はその部屋に自殺者がいたが、それを隠して入居者と入居契約を締結した場合 消費者契約法4条2項で取り消されます。
消費者契約法4条2項
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
これを本件に適用すると
「入居希望者が、入居契約を締結するに際し、実は、その部屋で自殺した人がいたにもかかわらず、大家さんが、それを告げなかったため、入居希望者が、そういういわくつきの部屋でないことを知らずに入居の申し込みをしたら、それを取り消すことができます。
例2
契約が未定なのに、実は、近い場所に新駅ができて交通の便がよくなりますよと告げて入居契約を締結した場合は、消費者契約法4条1項2号によって取り消せます。
消費者契約法4条1項2号
「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認」
これを本件に適用すると
消費者は、将来新駅が近所にできるか不明なのに、「できますよ」と断言され、
そのため「こりゃあ、便利になるな」と思い込んだら、入居契約を取り消せます。
なお、消費者契約法が適用されるのは、居住用の賃貸借契約の場合です。
店舗やオフィスの場合は、適用されません。法人契約やサブリーズ契約の場合も、適用されません。

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敷金精算と原状回復をめぐる苦情、トラブルが増加しています。すでに旧建設省は、平成年11年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発行し、同16年2月に国土交通省住宅局が改訂しました。
このガイドラインには、さまざまな事例について、貸主と借主のどちらが、どの程度、費用を負担すべきかという基準が、事細かに示されています。
ガイドラインに強制力はありませんが、裁判所が概ねガイドラインに沿った内容で判断しており、事実上、法規範に近い効力をもっています。
貸主も、借主も、判断にまよったときは、このガイドラインに沿って行動すれば、無用なトラブルは回避できるはずです。
さらに東京都の場合は、平成16年10月1日から、「東京都で賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)」(平成16年3月30日に都議会で可決)が施行されました。
この条例は、東京都内に存在する不動産業者に対して、入居中の修理や原状回復の費用負担に関して、まず法律の一般原則を説明し、次に実際の契約での費用負担特約がどうなっているのかを、独立した書面で借主に説明する義務を課したものです。
この条例は不動産業者が対象であり、貸主は何ら規制の対象にはなっていません。説明する事を義務付けられたのは家主でなく不動産業者だけです。
また、消費者保護の条例ですから、店舗・事務所等の事業用賃貸物件は、この条例による説明の必要はありませんし、居住を目的とする建物についての条例ですので、倉庫や店舗の賃貸借には適用されません。
借主に、説明すべきは、以下の3点です。
① 退室時の原状回復費用の負担について、経年変化(時間の経過に伴って生じる損耗)や通常損耗(通常の使用に伴って生じる程度の損耗)は、貸主の負担であること。
② 故意・過失、善管注意義務違反(他人のものを借りている場合、借主は、契約が終了し明け渡すまでの間、相当な注意を払って物件を使用する義務があり、これに反すること)による損耗は借主の負担であること。
③ 以上の一般原則通りでなくても、双方が合意すれば、特約を取り決める事ができること(この特約は、公序良俗に反したり、借地借家法・消費者契約法などに反した場合は無効となる)。
ただし、特約があればよいかというと、どんな特約を結んでも、裁判所は、だいたい、強引に特約の趣旨が明確でないと認定して、無効にします。借主が消費者の場合は、通常損耗等を借主負担にするのは、非常に困難です。
なお、この東京ルールに反しても、貸主に罰則はありません。仲介する不動産業者が、都知事より指導及び勧告を受けるだけます。

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[合意更新の場合]
当事者間で、次の契約内容を合意し更新契約をした場合、契約書に更新料の支払いが明記されていれば、それが不当の高額でない限り、賃借人は、更新料を支払う義務があります。
この更新料支払特約が有効なこと、これにより、過払い専門ハゲタカ法律事務所が虎視眈々と狙っていた更新料返還ビジネスが頓挫したことは、前回のブログで述べたとおりです。
それでは、法定更新の場合にも、更新料支払特約があれば、賃貸人は、更新料支払請求ができるでしょうか。
[法定更新の場合]
「借地借家法」では、貸主が借主に対して、
契約期間満了の1年前から6カ月前までの間に、
正当な理由のある更新拒絶の通知をするか、条件を変更しなければ更新しないという通知をしない限り、
契約は前と同じ条件で自動的に更新される
と規定されており、これを「法定更新」といいます。
[法定更新で更新料支払特約がない場合]
更新料支払いについて合意がない場合、更新料を支払わなくても契約が自動的に更新されますから、借主は更新料を支払う必要はありません。判例も、借地に関する事案ではありますが、「更新料の支払い義務は慣習上認められるものではない」としています(最高裁/昭和51年10月1日)。
[法定更新で更新料支払特約がある場合]
更新料支払特約がある場合は、ケースバイケースです。
「合意により更新できるが、更新料を支払え」という趣旨の賃貸借契約なら、合意更新の場合の更新料を定めた場合です。
しかし、「賃貸借契約が更新されたときは、合意更新であると法定更新であるとを問わず、借主は、更新料として、新賃料の1カ月分を貸主に支払わなければならない」と書かれている場合には、更新料を請求できる可能性があります。
この点は、法定更新の場合にも更新料を支払う必要があるとするもの(東京地裁/昭和61年10月15日判決)と、法定更新の場合には更新料を支払う必要はないとするもの(東京地裁/平成2年7月30日判決)があり、判断が分かれています。
最近の注目すべき判例に東京地裁 平成23年11月30日判決があります。
事案の概要は、以下の通りです。
1、更新料支払特約があった。
2、賃借人は、合意更新ができた場合のみ支払うものだと考えていた。
3、賃貸人は、更新から2年経過後、1週間以内に更新料を支払わなければ、解除すると通知した。
4、賃借人は、不満に思いながらも、期間経過後数日してから更新料を支払った。
5、賃貸人は、期間内に更新料支払特約がなかったとして契約を解除した。
判例は、以下のように判断し、賃貸借契約の解除を認めませんでした。
1、更新料支払合意が成立しており、たとえ法定更新でも、本合意は法定更新を除く趣旨とは考えられないから、更新料の支払い義務はある。
2、しかし、約定の支払期日を2年も経過したとしても、また催告期限を過ぎた後に支払ったとしても、本件では、賃貸借契約を解除できない。
なぜなら
① 当惑しながらも、催告期限の9日後には更新料を全額支払っている
② これまで約定の賃料及び共益費を遅滞なく支払ってきたことに鑑みると、賃借人には更新料の支払意思も支払能力もあったものであり、支払が遅滞したのは、ただ単に更新合意書を取り交わすまでは更新料は支払わなくてよいものと認識していたためであって、かつ、その認識については、賃貸人にも原因があった。
したがって、信頼関係を破壊していると求めるに足りない特段の事情があるというべきである。

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「借地借家法」では、貸主が借主に対して、
契約期間満了の1年前から6カ月前までの間に、
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と規定されており、これを「法定更新」といいます。
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更新料支払いについて合意がない場合、更新料を支払わなくても契約が自動的に更新されますから、借主は更新料を支払う必要はありません。判例も、借地に関する事案ではありますが、「更新料の支払い義務は慣習上認められるものではない」としています(最高裁/昭和51年10月1日)。
[法定更新で更新料支払特約がある場合]
更新料支払特約がある場合は、ケースバイケースです。
「合意により更新できるが、更新料を支払え」という趣旨の賃貸借契約なら、合意更新の場合の更新料を定めた場合です。
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この点は、法定更新の場合にも更新料を支払う必要があるとするもの(東京地裁/昭和61年10月15日判決)と、法定更新の場合には更新料を支払う必要はないとするもの(東京地裁/平成2年7月30日判決)があり、判断が分かれています。
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1、更新料支払特約があった。
2、賃借人は、合意更新ができた場合のみ支払うものだと考えていた。
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4、賃借人は、不満に思いながらも、期間経過後数日してから更新料を支払った。
5、賃貸人は、期間内に更新料支払特約がなかったとして契約を解除した。
判例は、以下のように判断し、賃貸借契約の解除を認めませんでした。
1、更新料支払合意が成立しており、たとえ法定更新でも、本合意は法定更新を除く趣旨とは考えられないから、更新料の支払い義務はある。
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