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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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借家人は、あるいは大家さんは、何時でも賃料の増減を請求できます。
まあ、いまは、たいていは、更新時に仲介業者さんが、仲に入って話をまとめるので、賃料の増減がトラブルにまでなるというケースはあまりありませんが、それでも、当事者の感情がもつれると、裁判にまで発展するというケースは、ままあります。
この場合、賃借人は、とりあえずは自分が適当と認める金額を支払えばよく、あとは、裁判で金額が確定した段階で、不足額を清算することになります。
この点は、借地借家法32条が、以下のように定めています。
「建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。」

ただ、この規定は、「不足があるときは」という文言からわかるように、「賃借人の支払った金額が、裁判で正当と認定された金額よりも、不足している」ことを前提とした金額です。
たとえば、大家さんが、毎月10万円が適正家賃だと主張し、賃借人は5万円が適正家賃だと主張したとき、賃借人は、とりあえず、5万円を毎月、支払い、裁判で適正家賃が8万円と判断されたら、差額の3万円をさかのぼって支払うことになります。ただし、その場合は、支払期日から支払い済みまで年10%の金利をつけることになります。

それじゃあ、「賃借人の支払った金額が多すぎた」らどうなるんでしょう。借地借家法は、「そんなことはありえない」ということで規定していません。賃借人は、通常、自分の適正と思われる金額しかはらわないからです。

ところが、上記のケースで、借家人が、「10%の金利なんか払いたくないから、とりあえず大家さんの言う10万円で支払うけど、高すぎることが判明したら返してね。」ということで、10万円を支払い、結局、後日、8万円が適正家賃だとした場合、大家さんは2万円返さなければなりません。
この場合、大家さんは、借地借家法で10%の金利とつけて返さなければならないんでしょうか。

判例時報No2174号(3月21日号)で紹介された東京高裁平成24年11月28日判決に、この問題に関する裁判所の判断が載っています。

 ① 借家契約において、賃貸人の賃料増額請求の一部のみを正当とする判決が確定し、これに照らすと賃料が過払となっていた場合において、賃貸人が返還すべき過払金について、借家法32条2項本文は類推適用されない。

 ② 借家契約において、賃貸人の賃料増額請求の一部のみを正当とする判決が確定し、これに照らすと賃料が過払となっていた場合において、その過払金の受領につき賃貸人が民法704条の悪意の受益者に当たる。

つまり、10%ではなく、5%の金利をつけなさい、ということです。

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借地借家法40条では、一時使用のための賃貸借は借地借家法が適用されない、としている。つまり、契約期間が終了すれば、法定更新されることなく終了する。それだけでなく、借家人・借地人保護の特別規定はすべて適用されず、民法の一般原則に戻ることになる。
地主や大家さんには、理想的な賃貸借だ。

この賃貸借を一時使用目的の賃貸借と言い、定期借家制度が利用できる以前は、借家人が半永久的に居座るのを防ぐ目的で盛んに利用されていた。当時は、住宅が慢性的に供給不足で、今のように大家が入居者確保に必死になるということもなく、むしろ、早期に出て行ってもらいたいというスタンスだったという背景事情もある。自分も、この一時使用賃貸借契約の作成とか契約チェックが、事務所の重要な収入源だったことがある。

今は、定期借家制度ができたこと、大家が入居者確保に懸命になる社会的背景から、一時使用目的賃貸借は、急激に減少した。それでも、いまだに相応の利用のされかたをしている。
例えば、「会場をイベント期間中だけ利用する」、「避暑や避寒のために一時的に家をあけるので、その間だけ貸す」等の場合に、この契約が利用されている。

この一時使用目的の賃貸借は、借地借家法の適用がなくなるので、裁判所は、認定にかなり慎重である。
契約書に一時使用賃貸借契約書と明記するのは当然であるが、明記すれば、何でもかんでも一時使用賃貸借となるわけではない。
最高裁判所は、一時使用賃貸借か否かの認定について次のように述べている。
「必ずしもその期間の長短だけを標準として決せられるものではなく
賃貸借の目的、動機、その他諸般の事情から
当該賃貸借を短期間内に限り存続させる趣旨のものであることが
客観的に判断される場合」
が一時使用賃貸借にあたると述べている。
具体的には、
どういう経緯で契約を締結するにいたったか
建物利用目的は何か
建物が現実にどのように運用されているか
契約期間
賃料改定の事情
などを総合的に判断することになろう。

一時使用賃貸借を作成するさいは、
名称を一時使用賃貸借とするのは当然として
イベント会場に利用する等目的を具体的に記載する必要がある。
また、期間も短いのは当然として、
賃料を固定し、高額の権利金、敷金を排除し
更新もありえないことを
明記する必要がある。

一時使用賃貸借契約には、国土交通省作成の標準賃貸借契約書は用意されていないから、自分で作成する必要があるが、できれば弁護士に依頼するのがのぞましい。


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サブリースが盛んである。昔から行われてきたが、いまだに衰えを知らない。
サブリースとは、賃貸不動産管理会社(サブリース会社)が、大家さんからアパートやマンションを借り、自分が貸主となって入居者を募集し転貸する契約である。
サブリースは、本来、建築会社の賃貸住宅建設受注の営業活動として利用されたが、しだいにこれを本業とする会社があらわれ、現在は、賃貸住宅市場の約3割がサブリース物件ではないかと言われている。国土交通省も、平成13年にサブリース用の標準賃貸借契約書を発表している。

サブリース会社と契約する場合、最大の問題点は、サブリース会社は、オーナーに、いかなる場合に、どの程度、賃料の値下げを請求できるかという点である。

これについては、有名な最高裁判例がある。今回は、この判例を紹介しよう。

背景には、バブル経済の崩壊とそれに伴う賃貸市場の市況悪化にあった。
サブリース契約が開始された当時は、「不動産も家賃も、上がることはあっても下がることはない」という不動産神話が信じられており、サブリース会社も、この神話を信じ、この神話を前提とした契約を締結していた。
ところがバブル経済が崩壊し、賃料が下がり始めた。市場は「入居させてやる」から「入居していただく」と変わった。
サブリース会社は、転借人から取得できる賃料が下がる一方で、オーナーに支払う賃料は現状維持。ほとんどのサブリース会社が赤字経営に陥った。このままでは事業が行き詰る。そこで、サブリース会社は、借地借家法32条の賃料減額請求権を行使して、オーナーに支払う賃料の減額を主張した。
これに対し、オーナー側は、サブリースは事業なんだから借地借家法の適用はないと主張して争った。多くのオーナーは、銀行から多額の借り入れをして貸家を建築した。サブリース会社から支払われる賃料は、そのまま、銀行ローンの返済へと充てられた。賃料の減額は、銀行ローン返済の行き詰まりとなり、オーナーんにとっては、死活問題だった。

下級審の判例は分かれたが、最高裁は、平成15年10月、以下のように判断した。
1、サブリース契約にも借地借家法の適用があり、借地借家法32条の賃料減額請求権を行使できる。
2、しかし、賃料の適正額を定めるにあたっては、サブリースという事業であることを十分配慮せよ。
これを受けて差戻し審は、サブリースが、不動産会社からの提案であることを踏まえて、次にように判断した。
1、適性賃料を定めるにあたっては、一方で、サブリース会社の事業収支も考慮しなければならないが、他方でオーナーの資金返済計画も考えなければならない。
2、バブルの崩壊で、固定資産税や金利が減少した。この減少分は、家賃を減額できる。
3、しかし、そのほかの下落分は、事業を提案したサブリース会社が負うべき経営リスクであり、原則として、サブリース会社が負担する。

現在のサブリース契約は、市況がどう変動しようと、サブリース会社は損はせず、市況の変動による損失は、すべてオーナーが負担する内容の契約になっている。地主がサブリース契約でアパートなどを建築しようとする場合は、その点を覚悟する必要がある。



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賃貸借契約書に、「賃料を1カ月以上怠ったら賃貸借契約は当然解除になり、建物を明け渡す。建物を明け渡さない場合は、賃貸人が任意に建物内の動産類を処分できる」といった条項(いわゆる自力救済条項)が、まま見られる。
そこで、この条項をもとに、賃借人が行方不明になった場合、賃貸人が、建物の鍵を自分で開けて中の動産類を勝手に処分してしまうケースがある。
中には、行方不明にならず、まだ入居しているにもかかわらず、部屋に押し入って入居者を力づくで追い出すケースもある。

しかし、いくら契約に自力救済条項があろうとも、自力救済は、ほとんどのケースで違法行為となると覚悟しておいたほうがいい。

自力救済の可否については、最高裁の有名な判例がある(昭和40年12月7日第三小法廷判決(民集19巻9号2101頁)
「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。」と述べ、自力救済は原則として許されないとしている。

これを受けて、下級審判例は、自力救済条項をもとに法的手続きを踏まずに強引に明け渡しを行った賃貸人に対し、賃借人に対する不法行為の成立を認めている。
浦和地裁平成6年4月22日判決
賃貸人が室内に残された賃借人の所有物を処分した事案
「本件廃棄処分が本件条項にしたがってなされたからといって直ちに適法であるとはいえない。」

東京地裁平成18年5月30日判決(判時1954号80頁)
賃料を滞納した賃借人の不在中に扉に施錠具を取付け、室内に立ち入って窓の内側に侵入防止のための施錠具を取り付けたという事案
「このような手段による権利の実現は、法的手続によったのでは権利の実現が不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむをえない特別の事情がある場合を除くほかは、原則として許されないというべきであって、本件特約は、そのような特別の事情があるといえない場合に適用されるときは、公序良俗に反して、無効であるというべきである。」

それじゃぁ、どうするんだというのが大家さんの意見だろうが、これは、金と時間がかかっても、正攻法でいくしかない。つまり、賃料滞納を理由として直ちに賃貸借契約を解除したうえで建物明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て建物明け渡しの強制執行を行なうことになる。注意すべきは、賃貸人はこの建物明渡請求訴訟で勝訴判決を得たとしても、それだけで直ちに残置物を搬出・処分できるわけではなく、判決に基づいて建物明渡しの強制執行を行う必要がある(民事執行法168条)ことである。


これは、入居者がいようが、あるいは行方不明だろうが、手続きにはかわらない。賃貸人としては、「どうせ入居者は行方不明なんだ、一刻も早く室内に残された物を搬出・処分し、新しい賃借人に貸したい」と思うだろうが、自力救済は、やはり許されない。

建物明渡しの強制執行と動産執行はいずれも執行予納金を裁判所に納める必要があるほか、実際の搬出作業を行う業者に支払う費用も必要となり、賃貸人の経済的負担はかなり重いものとなる。家賃滞納で経済的ダメージを受けているうえに、弁護士費用、強制執行費用と損失はさらに膨れる。しかし、大家さん家業というのは、もともと、そういうリスクがある業務なのだ。



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自分が弁護士になった頃は、家賃の増額請求事件は、かなり多かった。あのころは、家屋が絶対的に不足し、文句があるなら出ていけという大家の横暴がまかりとおった。大家さんは殿様商売ができたのだ。
それがいつの間にか、入居者に頭を下げて入居をお願いするという事態になり、更新の都度、入居者から値下げを要求されるんじゃないのかと心配するようになった。世の中、変わればかわるもんだなぁと思う。

さて、家賃の増減が問題となるのは次の3つである。
1、 土地建物に対する税金が変わったとき。
2、 土地建物の価格が上昇しあるいは下降したとき
3、 近隣相場に比べて家賃が高い、あるいは低いとき

まあ、高度成長を終えた日本では、1,2は、そうあるものではなく、ほとんど3だろう。

最近の主流は、更新時に値上げするか否かではなく「近隣相場に比べて高すぎるんじゃないの?下げてくださいよ」という店子からのクレーム。
こういう場合、大家さんは、何よりも空き室になるのを恐れ、やむなく、店子の要求を呑むというケースが多いはず。
だが、それでも人気物件とか人気の場所となると、いまだに強気の大家さんが主流で「なに?値段を下げろだと?文句があるなら出ていきやがれぇ」と反発し、ついにはトラブルにまでなるケースがある。
まあ、今は、こういう場合でも、仲介業者がうまく調整してくれるんで、弁護士のところに事件を依頼しにくるお客さんは、昔と比べて激減した。しかし、それでも、双方が引き下がらず、ついには仲介業者も匙を投げて双方が弁護士を立ててにらみ合いになるという事態が、少数だが、ある。

さて、双方の意見が調整つかないとき、賃借人としては自分が相当と認める金額を支払えばよい(借地借家法38条2)。もっとも、ほとんどの大家さんは、自分の納得する金額でない限り、受領を拒否するだろうから、賃借人は、大家さんが受領を拒否したとして、自分が相当と認める金額を供託することになる。

相当な金額は、最終的に裁判所の判断を仰ぐことになるが、もし賃借人が供託した金額が、裁判所より決めた金額より低いときは、その不足額全額を一括で大家さんに支払うことになるばかりか、年10%の金利もつく(借地借家法11条2)から、要注意だ。

こういうトラブルを回避しようと、あらかじめ賃料改定の件について取り決めておく場合もあるが、以下の2点に注意する必要がある。
1、一定期間賃料を増額しない特約は有効だが、減額しない特約は、賃借人に不利だから無効である。
2、定期借家契約では、賃料改定について合意すると借地借家法による賃料増減請求はできなくなる。


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