ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
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http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
建物賃貸借契約期間中の賃料減額請求・増額請求は、そう簡単には認められません。
普通、賃貸借契約には、契約期間中と言えども、賃料が不相当になったときは、賃料の増減を請求できると記載してあります。国土交通省の標準賃貸借契約書にも、そのように記載してあるはずです。
ただ、実際には、期間中に賃料の増減を請求する当事者は、ほとんどいません。というのは、建物賃貸借契約期間は、普通、2年か3年で、更新時に賃料の改定を行うからです。
ただ、それでも、契約を更新しておきながら、突然、賃料の値上げを要求したり値下げをする例があります。最近は、大家さんの突然の値上げ要求が多いですね。
大家さんとしては、空き室があると不安になる。あるいは、近所に新しい賃貸マンションが建ったので、入居者が更新してくれるか不安になる。それで、つい安値で貸したり更新してしまう。しかし、いったん、更新してしまうと「なんでこんなに安く貸してしまったんだろう」と後悔する。そこで契約書を見ると「契約期間中でも値上げできる」と書いてある。「これだ!!」とばかりに、その契約文言にとびつき、不動産屋を通じて値上げ要求をする。不動産屋さんも、お得さんだけに面と向かって「大家さん、それ非常識ですよ」なんて言えず、まずいなぁと思いながら、一応、入居者に伝える。入居者は、びっくりして、「とんでもない大家だ」と怒る。かくて、大家さんと入居者の関係が悪化する。
一応、借地借家法では、
「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
と規定してあります。
つまり、
1、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
2、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
3、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
は、契約期間中と言えども、賃料の増減を請求できることになっています。しかし、これらの事情は、契約当時、予想できなかったことが必要で、普通は2,3年の間に、1~3の事情が生じたとしても、「契約当時、予想できなかった」とは言えないでしょう。
最近の判例では、オフィスを借りている賃借人からの、契約期間中の賃料減額請求が棄却された例があります(東京高裁H24.7.19)
言われるままにハイハイと更新したけど、周囲を眺めると、どう考えても自分のところの賃料が高すぎる、あるいは、引っ越し費用を考えると、ちょっと高いと思ったけど更新した、しかし、やっぱり相場からして高すぎる。こういう場合に、賃借人から賃料減額請求がされたるわけです。
この裁判では、一審も二審も、契約更改時の想定範囲内だとして、賃料が相場より高くても値下げは駄目だと判断しました。そりゃそうでしょうね。
なお、この判例で注目すべきは、以下の点です。
「賃料相場が下落傾向にある状況下でも、建物賃借人にとって、新規に同等の建物を賃借する場合に比べて、従来賃借していた建物を継続して使用する方が、新規に契約を締結するために必要な費用や移転の経費を要しない点において経済的に有利であることは明らかであり、したがって、賃借人の利益の観点からも、賃貸借契約を継続する場合の賃料の額が新規に賃貸借契約を締結する場合
の賃料より相応に高いものとなることについては経済的な合理性があるといえる。」
「国土交通省が定める不動産鑑定評価基準においても、建物の継続賃料の鑑定を行うについて、賃料相場が下落傾向にある場合について、新規賃料を求める場合に準ずる鑑定評価を行うべき旨の記載はない。」
にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
「最新 図解で早わかり
改正対応! 相続・贈与の法律と税金」
森公任 ・ 森元みのり 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992
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「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
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建物賃貸借契約期間中の賃料減額請求・増額請求は、そう簡単には認められません。
普通、賃貸借契約には、契約期間中と言えども、賃料が不相当になったときは、賃料の増減を請求できると記載してあります。国土交通省の標準賃貸借契約書にも、そのように記載してあるはずです。
ただ、実際には、期間中に賃料の増減を請求する当事者は、ほとんどいません。というのは、建物賃貸借契約期間は、普通、2年か3年で、更新時に賃料の改定を行うからです。
ただ、それでも、契約を更新しておきながら、突然、賃料の値上げを要求したり値下げをする例があります。最近は、大家さんの突然の値上げ要求が多いですね。
大家さんとしては、空き室があると不安になる。あるいは、近所に新しい賃貸マンションが建ったので、入居者が更新してくれるか不安になる。それで、つい安値で貸したり更新してしまう。しかし、いったん、更新してしまうと「なんでこんなに安く貸してしまったんだろう」と後悔する。そこで契約書を見ると「契約期間中でも値上げできる」と書いてある。「これだ!!」とばかりに、その契約文言にとびつき、不動産屋を通じて値上げ要求をする。不動産屋さんも、お得さんだけに面と向かって「大家さん、それ非常識ですよ」なんて言えず、まずいなぁと思いながら、一応、入居者に伝える。入居者は、びっくりして、「とんでもない大家だ」と怒る。かくて、大家さんと入居者の関係が悪化する。
一応、借地借家法では、
「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
と規定してあります。
つまり、
1、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
2、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
3、近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき
は、契約期間中と言えども、賃料の増減を請求できることになっています。しかし、これらの事情は、契約当時、予想できなかったことが必要で、普通は2,3年の間に、1~3の事情が生じたとしても、「契約当時、予想できなかった」とは言えないでしょう。
最近の判例では、オフィスを借りている賃借人からの、契約期間中の賃料減額請求が棄却された例があります(東京高裁H24.7.19)
言われるままにハイハイと更新したけど、周囲を眺めると、どう考えても自分のところの賃料が高すぎる、あるいは、引っ越し費用を考えると、ちょっと高いと思ったけど更新した、しかし、やっぱり相場からして高すぎる。こういう場合に、賃借人から賃料減額請求がされたるわけです。
この裁判では、一審も二審も、契約更改時の想定範囲内だとして、賃料が相場より高くても値下げは駄目だと判断しました。そりゃそうでしょうね。
なお、この判例で注目すべきは、以下の点です。
「賃料相場が下落傾向にある状況下でも、建物賃借人にとって、新規に同等の建物を賃借する場合に比べて、従来賃借していた建物を継続して使用する方が、新規に契約を締結するために必要な費用や移転の経費を要しない点において経済的に有利であることは明らかであり、したがって、賃借人の利益の観点からも、賃貸借契約を継続する場合の賃料の額が新規に賃貸借契約を締結する場合
の賃料より相応に高いものとなることについては経済的な合理性があるといえる。」
「国土交通省が定める不動産鑑定評価基準においても、建物の継続賃料の鑑定を行うについて、賃料相場が下落傾向にある場合について、新規賃料を求める場合に準ずる鑑定評価を行うべき旨の記載はない。」
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森公任 監修
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「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました
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