ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
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http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
ある程度の規模のマンションの場合、必ず一人か二人、「困ったちゃん」がいるものです。近隣の人達に、やたらと喧嘩を売る、ゴミ捨てのルールを守らない、夜中に騒ぐ、等々。
まあ、たいていは、そういう困ったチャンがいても、多くの住民の方々は「つきあわない」という方針でのぞんでいるはずです。そんな人に抗議をしようものなら、それこそ半沢直樹ばりに「倍返し」が来ますから、それよりは、「君子、危うきに近寄らず」というのが普通の住民でしょう。
しかし、「困ったちゃん」にも限度があり、これが暴力団事務所となると、「君子、危うきに近寄らず」というわけにはいきません。こういう場合は、住民同士団結して、この手の連中を追い出す必要がでてきます。
しかし、区分所有マンションの場合、それぞれがオーナー。「いくら俺がヤクザだといっても、俺のものをどう使おうと俺のかってだろう」という反論がきそうです。
しかし、ご心配なく。区分所有法が、この「困ったちゃん」対策を助けてくれます。
まず区分所有法6条。これは、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません」として、自分のものでも、同じマンションの人達の共同の利益に反しない限度での利用しか認めていません。
もし、それを無視した場合は、区分所有法57条。これは、同じマンションの人達の共同の利益に反する行為は、「停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」と規定しています。つまり、問題行為は止めなさい、という権利です。
まあ、それでも守らない人は、次は区分所有法58条で、「相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。」と規定しているんで、そのマンションを使っては駄目という権利もあります。
使用禁止だけでは効果がないという場合は、最後の手段として、区分所有法59条。これは、そのマンションを競売にかけて強制的に売却させることが出来るという、ものすごい規定です。
「区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。」
さすがに、この59条が発令されるケースは少数ですが、相手が反社会的勢力、つまり暴力団のときは、けっこう認められます。福岡地判 平24・2・9が、その判決の一つですが、簡単に判決文を引用しておきましょう。
区分所有法6条の適用について
「Yが専有部分を暴力団事務所として使用することは、区分所有者の生活上の利益を含む建物の管理・使用全般にわたる共同の利益に反する行為であり、これによる区分所有者の共同生活上の障害が著しい程度に至っているものと認められる。」
区分所有法57条の停止命令で足りるか
暴力団事務所の使用は禁止しても、住居なんかの「使用自体は許した場合、自宅への訪問者と称して出入りさせることが可能となること、各種備品が置かれていることなどに照らすと、事実上暴力団事務所として使用する可能性があるといえる。したがって、区分所有法57条1項に規定する請求によっては共同生活上の障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難である。」
つまり、停止命令では足りないというわけです。
区分所有法58条の使用禁止で足りるか
「専有部分を住戸として使用していると称していても、事実上暴力団事務所として使用する可能性があることも併せ考慮すると、区分所有法58条に規定する請求に基づいて、一定期間に限り、専有部分の使用を禁止することによっては、共同生活上の障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるといわざるを得ない。」
つまり、一定期間使用を禁止してもいくらでも潜脱できる。
そこで、ついに59条の競売になるわけです。
「本件においては、区分所有権等の競売請求以外の方法によっては共同生活上の障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であると認められる。」
わが国では、代表的な5つの不動産業団体において、不動産取引の契約のモデル条項として、暴力団等反社会的勢力排除条項が定められている。この条項を極力普及させ、活用することで、区分所有法の発動なんてしなくても、すむようになってもらいたいものである。
にほんブログ村
追伸
是非、ご購入ください。
最新版
図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
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さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
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まあ、たいていは、そういう困ったチャンがいても、多くの住民の方々は「つきあわない」という方針でのぞんでいるはずです。そんな人に抗議をしようものなら、それこそ半沢直樹ばりに「倍返し」が来ますから、それよりは、「君子、危うきに近寄らず」というのが普通の住民でしょう。
しかし、「困ったちゃん」にも限度があり、これが暴力団事務所となると、「君子、危うきに近寄らず」というわけにはいきません。こういう場合は、住民同士団結して、この手の連中を追い出す必要がでてきます。
しかし、区分所有マンションの場合、それぞれがオーナー。「いくら俺がヤクザだといっても、俺のものをどう使おうと俺のかってだろう」という反論がきそうです。
しかし、ご心配なく。区分所有法が、この「困ったちゃん」対策を助けてくれます。
まず区分所有法6条。これは、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません」として、自分のものでも、同じマンションの人達の共同の利益に反しない限度での利用しか認めていません。
もし、それを無視した場合は、区分所有法57条。これは、同じマンションの人達の共同の利益に反する行為は、「停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」と規定しています。つまり、問題行為は止めなさい、という権利です。
まあ、それでも守らない人は、次は区分所有法58条で、「相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。」と規定しているんで、そのマンションを使っては駄目という権利もあります。
使用禁止だけでは効果がないという場合は、最後の手段として、区分所有法59条。これは、そのマンションを競売にかけて強制的に売却させることが出来るという、ものすごい規定です。
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さすがに、この59条が発令されるケースは少数ですが、相手が反社会的勢力、つまり暴力団のときは、けっこう認められます。福岡地判 平24・2・9が、その判決の一つですが、簡単に判決文を引用しておきましょう。
区分所有法6条の適用について
「Yが専有部分を暴力団事務所として使用することは、区分所有者の生活上の利益を含む建物の管理・使用全般にわたる共同の利益に反する行為であり、これによる区分所有者の共同生活上の障害が著しい程度に至っているものと認められる。」
区分所有法57条の停止命令で足りるか
暴力団事務所の使用は禁止しても、住居なんかの「使用自体は許した場合、自宅への訪問者と称して出入りさせることが可能となること、各種備品が置かれていることなどに照らすと、事実上暴力団事務所として使用する可能性があるといえる。したがって、区分所有法57条1項に規定する請求によっては共同生活上の障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難である。」
つまり、停止命令では足りないというわけです。
区分所有法58条の使用禁止で足りるか
「専有部分を住戸として使用していると称していても、事実上暴力団事務所として使用する可能性があることも併せ考慮すると、区分所有法58条に規定する請求に基づいて、一定期間に限り、専有部分の使用を禁止することによっては、共同生活上の障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるといわざるを得ない。」
つまり、一定期間使用を禁止してもいくらでも潜脱できる。
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森公任 ・ 森元みのり 監修
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三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。
さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」
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