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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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誰でも、読んだ後、いつまでも心に残る本があります。自分にとって、水上勉の「土を喰う日々」も、その一冊です。この本は、今でも、時々、読み返しています。

貧しい実家の口減らしのため寺に出された水上勉氏が、少年時代、小僧として禅寺で、老師から、本来の精進料理を学びました。
素材は寺の敷地にある畑で育つ野菜や山菜、庭に生える筍などに限られ、その畑と相談しながら、色々な料理を取得していきます。「土を喰う」というのは、そういう身近な土から食を施されるという意味で、つくり食べることがそのまま修行だというのです。
最近はやりの「本物の味」「店主こだわりラーメン」「創作料理」「厳選された高級素材」等々、およそ自然の旬からは縁遠い食物が繰り広げられる「食通」の世界とは次元が違う世界が、そこにあります。

まず精進料理の基本ですが、以下の通り述べられています。
「すべて品物を調理し支度するにあたって、凡庸人の眼で眺めていてはならない。凡庸人の心で考えてはならない。」「たとえ、粗末な菜っぱ汁を作るときだって、いやがったり、粗末にしたりしちゃならぬ。たとえ、牛乳入りの上等な料理をつくる時に大喜びなどしてはならない。」「どうして、一体粗末なものをいやがる法があるのか。粗末なものでもなまけることなく、上等になるように努力すればいいではないか。ゆめゆめ品物のよしわるしにとらわれて心をうごかしてはならぬ。物によって心をかえ、人によってことばを改めるのは、道心あるもののすることではない。」

また料理の基本は、畑と相談することだと述べています。
「何もない台所から絞り出すことが精進だといったが、これは、つまり、いまのように、店頭へゆけば、何もかもが揃う時代とちがって、畑と相談してからきめられるものだった。ぼくが、精進料理とは、土を喰うものだと思ったのは、そのせいである。旬を喰うことはつまり土を喰うことだろう。土にいま出ている菜だということで精進は生々してくる。」

これにそって、多くの料理が紹介されていますが、そのどれもが、ありふれた料理です。しかし、食とは「土を喰うことだ」という思想で、貫かれていて、いずれも読んでいて唾がでてきます。

以下、いくつか引用します。

焼きくわい
「承弁や。またお客さんが来やはった。こんな寒い日は、畑に相談してもみんな寝てるやもしれんが、二、三種類考えてみてくれ」
承弁というのはぼくの僧名だった。酒の方が第一だから、先ず、燗をした徳利を盆に、昆布の揚げたのをつまみにのせて出しておいてから、台所で考える。
くわいを焼くのは、この頃からぼくのレパートリーだった。
のちに、還俗して、八百屋の店頭に、くわいが山もりされ、都会人には敬遠されるとみえ、ひからびているのを見ると、涙が出たが、一般には煮ころがしか、あるいは炊きあわせにしかされないこれを、ぼくは、よく洗って七輪にもち焼き網をおいて焼いたのだった。まるごと焼くのだ。
ついさっきまで土の中にいたから、ぷーんとくわい独特のにがみのある匂いが、ぷしゅっと筋が入った亀裂から、湯気とともにただようまで、気ながに焼くのだ。
(中略)
ぼくは、この焼きあがったくわいを大きな場合は、包丁で二つに切って皿にのせて出した。小さな場合はまるごと二つ。わきに塩を手盛りしておく。これは酒呑みの老師の大好物となった。

ほうれん草のおひたし
ほうれんそうの赤い根の所を捨てた「僕」に
「本孝老師は、ぼくに、あの時、赤い根もひたしにまぶせといわれたのだった。ぼくはそのとおりにした。すると、葉のやわらかい青がかかったところへ、赤い根は、花のようにまぶされて色めき、舌の上では、根の方が甘かった。しかし、それが根ばかりだとまた、きついのだった。青いところにまじっていることによって、甘さと、色とを発揮する。ぼくはそれ以来、今日にいたるまで、たとえば、料理屋や、呑み屋などで、ほうれん草のおひたしが出ると、根をさがすのだ。」今は、赤い根があるほうれんそうのおひたしは、どの食堂でも、でないはずです。

栗飯
「旬だから栗めしもつくる。私の栗めしは、少ししぶ皮を、のこして炊くのがコツだ。家内など栗のしぶ皮はていねいにむくのをよしとして、包丁でまるで着物をはぐように厚くむくが、どういうわけか、私は、つるりとむくのがきらいである。柿でもむくみたいに、実を大きくけずりとると、折角のカサが半分ほどになる。ケチなようかもしれぬが、包丁の刃をたてて、ケリケリと手間にかきよせてしぶ皮だけけずるのだ。それをよく水につけてから、ごはんに入れる。これは邪道かもしれぬが、しぶ皮を少しのこったのが味をよくする。炊きあがっためしの色がこころもち色づくのもいい。しぶはそれで、めしぜんたいに、山の香をまぶして、得もいえぬことになる。精進の極意は季節を喰うところにあるから、新栗のそういうめしへのまぶし方は、道にかなったものかと思うが、読者はわらうだろうか」

あの「あれもダメ、これもダメ」という「美味しんぼ」の食通主人公が、まんがの中で「日本で唯一読む価値のある料理本だ」と言ったそうですが、自分には、この本は、食通向けの「美味しんぼ」の対極にあると思いますがね。

ちなみに、この本では、以下の料理が紹介されています。
1月は秋に蓄えた馬鈴薯、小芋、ねぎ
2月は田楽、こんにゃく
3月は高野豆腐、湯葉
4月はたらの芽、アカシアの花、ワラビといった山菜
5月が筍、うど
6月は梅
7月は茄子、夏大根
8月は豆腐
9月は松茸、しめじ
10月は果実酒、唐辛子
11月は栗、くるみ
12月は焼き芋、根菜汁


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