ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
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http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
借家人に出て行ってもらうさい、正当事由を補強するため、立退き料の支払いを申し出る。大家が、正当事由があるとして明け渡しを求めるときは、必ず、この正当事由の問題に直面する。
この立退き料は、借地借家法施行以前には、法律のどこにも規定がなく、しかし、裁判では、当たり前のように主張されていた不思議な概念だった。
借地借家法の28条で、ようやく、「明渡の正当事由の判断にあたり、賃貸人が申し出た立ち退き料の額を考慮して正当事由を判断する」と規定されるにいたった。
ところで、この立退き料と正当事由の関係はどうかというと、全く不明である。
賃貸人側の通説的な見解は、「正当事由がないとき、あるいは不足するときに、これを補完するため」に支払われるのが立ち退き料だ、という考えである。
例えば、明渡が認められる正当事由を100点としたとき、賃貸人の正当事由が50%点しか立証できないとき、残りの50点を補完するのが立退き料だという考えである。100点を立証できれば、立退き料は不要ということになる。
これに対し、賃借人側から主張されるのが、立退き料は、正当事由を立証できたときに、「賃借人の経済的損害を補填するため」の制度であり、正当事由の不足を補完するような性質のものではない、という考えである。
例えば、明渡が認められる正当事由を100点としたとき、賃貸人の正当事由が50%点しか立証できないときは、立退き料は問題にならない。100点を立証できたときに、初めて立ち退き料をいくらにするかという問題になる、という考えである。
この問題を正面から論じた判例はなく、判例自体が、色々な基準を適当に言っており、そこには全く統一性はない。同じ裁判官が、異なる判決で、異なる見解を平気で述べたりする。
離婚原因とか解雇理由なども、「正当事由」の判断同様、裁判官の裁量に委ねられる部分が大きいとはいえ、ある程度の予測はできる。ところが、正当事由の判断になると、その「ある程度の予測」さえできない。
しかし、本来、ここは、正当事由による明渡を求める訴訟での基本中の基本だから、この根っこの部分がいい加減だと、正当事由の認定や立ち退き料の金額について、客観的な判断ができないことになる。事実、正当事由による明渡を求める裁判の勝敗は、ほとんど予測不能である。
正当事由による明渡を求める裁判は、表現は悪いが、ある意味、丁半博打に似ているところさえある。「センセ、この裁判勝てますか」という質問に、まともに答えられない唯一の分野が、この「正当事由による明渡」である。(続く)
[OMAKE];
瀬戸内に浮かぶ大久野島に行ってきました。下の写真左は、そのウサギです。右の写真は、島で見かけた不思議な集団です。どちらもクリックすると拡大します。
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図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」
森 公任 , 森元 みのり共同監修
1,944円(税込)1,800円(税抜) 三修社
「非嫡出子の相続分改正や
平成27年1月施行の相続税制改正など、最新の内容をわかりやすく解説! 相続の基本ルールから遺言、財産評価、遺産分割、 相続税・贈与税対策まで。法律・税金の重要事項、手続きを幅広く網羅」
【本書でとりあげる主なテーマ】
相続の基本ルール/遺産分割/遺言書の書き方/相続財産の評価/相続税・贈与税のしくみ/税金対策/相続問題をサポートする機関や相談先/公正証書作成/調停や審判の手続き/相続登記/申告手続き など「ケース別相続分早わかり」など、豊富な図解とQ&Aで相続問題を平易に解説!
「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
森公任 森元みのり 共同監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054
(楽天ブックのベストセラーで、大学のテキストとしても広く利用されています)
定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。
また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。
さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」
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この立退き料は、借地借家法施行以前には、法律のどこにも規定がなく、しかし、裁判では、当たり前のように主張されていた不思議な概念だった。
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