ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
賃貸、売買、欠陥住宅、そのほか不動産に関するご相談を承っております。何時でもお電話ください。
賃貸人と賃借人との間で建物賃貸借契約を締結する際に、賃借人から賃貸人に対して敷金の預託が行われます。
それでは、賃貸人が、その建物を第三者に譲渡した場合は、どうなるでしょう?
仲介業者が仲に入って、賃貸建物を譲渡する場合は、譲渡人と譲受人との間で建物譲渡に伴い、テナントとの賃貸借契約を譲受人が承継することが合意されるのが常識で、その際、敷金返還債務も建物の譲受人が承継することが合意されるのも常識です。
が、素人同士で売買契約を締結し、このような合意がなされることなく賃貸建物が譲渡された場合には、敷金返還債務はどのように処理されるのでしょうか。
判例は、「建物賃貸借契約において、建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料等があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される」(最高裁昭和44年7月17日判決) とされています。
つまり、賃貸建物が譲渡されたときは、譲渡時点で、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料があれば、その部分は敷金から控除するものの残額はすべて建物譲受人に承継され、譲渡時点で未払賃料がなければ、敷金の全額が新賃貸人に承継されるということです。
注意すべきは、「譲渡時点で、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料があれば、その部分は敷金から控除する」とされている点です。普通、敷金というのは、あくまでも担保として預かっているにすぎず、敷金を未払い賃料に充当するか否かは賃貸人の自由とされています。賃借人が賃料の滞納をしたときは、普通は、賃貸人は、敷金に未払い賃料を充当せず、契約解除を選択します。
しかし、賃貸人が建物を譲渡し、それに伴い敷金も譲渡されたときは、未払い賃料は、当然に敷金から差し引かれることになります。
それでは、売り主と買主との間で、「未払い賃料は敷金に充当せず、敷金も未払い賃料債権も、買主に譲渡する」と合意した場合は、どうなるでしょう?この場合は、この合意を否定する根拠はないので、有効な合意と解することになるでしょう。
これに関して、問題になった判例が、東京地裁H25・9・11です。
① 賃貸人が弁護士を通じて破産申立予定の通知をしてきた。
② 敷金がもどってこないことを恐れた賃借人Aは、それ以降、賃料の支払いを拒否した。
③ Bは、賃借人Aが賃料を8か月滞納した時点で、賃貸物件をオーナーチェンジで買い取った。
④ 賃借人Aは、Bにオーナーチェンジした段階以降はちゃんと賃料を支払っている。
⑤ Bは、滞納賃料の支払い求めたが、Aは、最高裁昭和44年7月17日判決により、譲渡時に敷金が当然に滞納賃料に充当されるはずだから、滞納分はないとして支払いを拒否した。
⑥ Bは、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除し、建物明渡訴訟を提起した。
東京地裁は、賃借人Aの主張は認められないとしながらも、旧賃貸人の破産予告で賃料の滞納をしたこと、判例を誤解していたこと、誤解が解けたのちは速やかに支払っていること等から、信頼関係違反はないとして、Bの解除は認めませんでした。
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図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」
森 公任 , 森元 みのり共同監修
1,944円(税込)1,800円(税抜) 三修社
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「図解で早わかり 倒産法のしくみ」
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が、素人同士で売買契約を締結し、このような合意がなされることなく賃貸建物が譲渡された場合には、敷金返還債務はどのように処理されるのでしょうか。
判例は、「建物賃貸借契約において、建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料等があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される」(最高裁昭和44年7月17日判決) とされています。
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⑤ Bは、滞納賃料の支払い求めたが、Aは、最高裁昭和44年7月17日判決により、譲渡時に敷金が当然に滞納賃料に充当されるはずだから、滞納分はないとして支払いを拒否した。
⑥ Bは、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除し、建物明渡訴訟を提起した。
東京地裁は、賃借人Aの主張は認められないとしながらも、旧賃貸人の破産予告で賃料の滞納をしたこと、判例を誤解していたこと、誤解が解けたのちは速やかに支払っていること等から、信頼関係違反はないとして、Bの解除は認めませんでした。
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