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ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記

森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。

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貸している建物が古くなった、建替えたいから出て行ってくれ、という相談は多い。この種の訴訟は、大家側にとってかなりしんどい事件であるが、東京地裁 平成25年12月11日判決では、大家側が勝訴している。
このケースを分析してみよう。

賃貸人に有利な事情
建替の高度な必要性がある。
① 建物は築後95年以上が経過しており、貸室の一つは、内部の床、天井、壁及び外壁等について賃貸人による補修が行われているものの、本件建物の別貸室の老朽化は著しい。
耐震性の点でも危険性を否定することができない(1級建築士・東京都木造住宅耐震診断員による一般診断法により、倒壊寸前の建物であると判断されている。)。
③ 本件建物は、準防火地域に指定され、密集して建物が存在し、国土交通省から「地震時等に著しく危険な密集市街地」に該当するとされている区域内に存在するが、耐火性を欠いている。
④ 本件建物の老朽化に対する補修や耐震性の補強を行うには、相当高額の費用を必要とすることが容易に推認されるし、これによっても本件建物の機能の増加は限定的なものに留まる。
⑤ 本件建物の別の部屋が傾斜した状態にあることから、近隣への危険性があるとして対処を求められている上(墨田区は、本件建物の安全確認を行うよう文書で賃貸人に要望している。)。
⑥ 現在、本件建物は賃貸し、収益物件として利用してきていることからすると、本件建物を取り壊し、本件敷地上に耐震性、耐火性を考慮した新たな共同住宅を建築しようとすることには相当程度の合理性がある。

賃借人に有利な事情
① 賃借人は、昭和27年2月から本件建物を住居として利用している。
② 95歳と高齢となるまで親族の援助を得ながらも自ら家事を行って単身で生活することが出来たのは、この部屋が慣れ親しんだ居室であるからである。

結論 明け渡しを認める。
理由①
双方の必要性を比較すると、賃貸人の必要性の方が高い。
親族による賃借人の日常生活や通院の援助が可能な範囲で新たな賃貸物件を確保することが全く不可能であるとはいえない。
新たな住環境を適切に整えることにより、転居に伴う賃借人の心理的・肉体的負担は軽減することができる。
理由②
賃借人の不利益は立ち退き料で解消できる。
賃借人に明け渡しを命ずる場合、賃借人に生じる不利益は看過できないが、不利益を補う立退料の提供がされることにより、本件解約申入れに正当事由が具備される。

立退き料をどのように算定するか
① 引越業者に対する聴取から貸室からの動産移転費用は、10万円と査定される。
② 新たな賃貸契約の仲介手数料を含め移転雑費として10万円程度を要すると査定される
③ 本件建物の周辺地域においては貸室と類似性の高い賃貸物件が存在せず、最も類似性の認められる賃貸物件の成約事例の賃料水準は、月額平均8万6500円である
④ 本件建物の周辺地域における③の類似物件の礼金は不要か賃料の1か月分が、敷金については賃料の2か月分が標準的である
東京都収用委員会の裁決等では、差額賃料の補償期間を2年6か月とするものがあることが認められる。
⑥ Xは高齢であり、親族による日常生活の援助等が可能な範囲で賃貸物件を確保する必要がある
⑦ 賃貸物件の確保自体や新しい住環境への適応が通常よりも困難であることが予想される。
⑧ 賃借人は、長年、借りている部屋の補修を貸主の費用で行っており、平成21年には約8万円を支出して天井を張り替え、平成22年8月には21万円を支出してトイレの改装を行っている。
これらの事実を勘案すれば、本件解約申入れの正当事由を補完するための立退料は215万円とするのが相当である。(原判決の立退料175万円)
⑹ したがって、Xは、Yから215万円の支払を受けるのと引換えに、借り室をYに明け渡す義務がある。

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