ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
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http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
定期借家権という制度ができて久しい。
普通、大家は、いったん家を貸すと「正当理由」がない限り、立ち退きを請求できない。ところが、「正当理由」というのは、従来の裁判例では、「大家がどうしても自分で使う必要があり、他に代替手段がない」という、およそ現実にはありえないような厳しい要件を課していた。その結果、家を持っている人は、気安く家を貸したら、もう半永久的にもどってこなくなる可能性があり、賃貸業者以外は、だれも空き家を人に貸すことはしなくなった。結果的に賃貸市場に、(当時は)十分な賃貸家屋の供給ができなくなった。
そこで、大家も安心して家を貸すことができるように、新しく定期借家制度を設けた。この定期借家制度を利用すれば、大家は、所定期日に確実に家を取り戻すことができる。市場に、十分な賃貸家屋の供給が期待できるし、空き家の有効利用もできる。
これが、定期借家制度の立法の趣旨である。
この定期借家制度は、借家人の立場を不安定にするものだから、成立要件が厳格である。
1、契約は公正証書による等書面による(38条1項)。
2、家主は、あらかじめ、借主に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない(同条2項)。
この要件を満たさないなと,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となってしまう(同条3項)。
それでは、この「更新できませんよ」という書面は、賃貸借契約書とは別の書類として交付しなければならないのか、それとも、ともかく定期借家権で更新されないんだということがわかっていればよいのか。
後者だとすると、借家人が、定期借家権であること認識していても、たまたま賃貸借契約とは別の書面で交付しなかったことを奇禍として、居座りを認めるようになる。
そこで、第2審の東京高裁は「借主は定期建物賃貸借たることも分かっていた。更に別個の書面が交付される必要性は極めて小さく、それが交付されていなかったとしても、定期建物賃貸借が無効にはならない」として、貸主の立退き請求を認めた。
ところが、最高裁は、借主が定期借家権であることを認識していても、大家さんは、借主に、契約書とは別個独立の書面を交付し、定期建物賃貸借である旨を事前に説明すべきである、として、大家さんの立退き請求を認めなかった。
この判決は、事案解決の妥当性としては、個人的には、釈然としないものがある。
ただ、定期借家権の成立要件は形式的に判断すべきだとする最高裁の考えも一理ある。実質的に判断していたら、定期借家権の成立要件が曖昧になる結果、、定期借家権と普通の借家権との境界線が不明確になり、ひいては不動産賃貸借市場の混乱をもたらするおそれがあるからである。
なお、定期借家権をめぐるトラブルを防ぐため、他の賃貸借契約書同様、定期賃貸借住宅標準契約書が用意されている。通常の仲介業者は、この標準契約書を使うはずで、これを使用しているかぎり、最高裁のようなトラブルは起きないはずである。
なぜ、本件では、この標準契約書を使用しなかったのだろうか?
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定期借家権という制度ができて久しい。
普通、大家は、いったん家を貸すと「正当理由」がない限り、立ち退きを請求できない。ところが、「正当理由」というのは、従来の裁判例では、「大家がどうしても自分で使う必要があり、他に代替手段がない」という、およそ現実にはありえないような厳しい要件を課していた。その結果、家を持っている人は、気安く家を貸したら、もう半永久的にもどってこなくなる可能性があり、賃貸業者以外は、だれも空き家を人に貸すことはしなくなった。結果的に賃貸市場に、(当時は)十分な賃貸家屋の供給ができなくなった。
そこで、大家も安心して家を貸すことができるように、新しく定期借家制度を設けた。この定期借家制度を利用すれば、大家は、所定期日に確実に家を取り戻すことができる。市場に、十分な賃貸家屋の供給が期待できるし、空き家の有効利用もできる。
これが、定期借家制度の立法の趣旨である。
この定期借家制度は、借家人の立場を不安定にするものだから、成立要件が厳格である。
1、契約は公正証書による等書面による(38条1項)。
2、家主は、あらかじめ、借主に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない(同条2項)。
この要件を満たさないなと,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となってしまう(同条3項)。
それでは、この「更新できませんよ」という書面は、賃貸借契約書とは別の書類として交付しなければならないのか、それとも、ともかく定期借家権で更新されないんだということがわかっていればよいのか。
後者だとすると、借家人が、定期借家権であること認識していても、たまたま賃貸借契約とは別の書面で交付しなかったことを奇禍として、居座りを認めるようになる。
そこで、第2審の東京高裁は「借主は定期建物賃貸借たることも分かっていた。更に別個の書面が交付される必要性は極めて小さく、それが交付されていなかったとしても、定期建物賃貸借が無効にはならない」として、貸主の立退き請求を認めた。
ところが、最高裁は、借主が定期借家権であることを認識していても、大家さんは、借主に、契約書とは別個独立の書面を交付し、定期建物賃貸借である旨を事前に説明すべきである、として、大家さんの立退き請求を認めなかった。
この判決は、事案解決の妥当性としては、個人的には、釈然としないものがある。
ただ、定期借家権の成立要件は形式的に判断すべきだとする最高裁の考えも一理ある。実質的に判断していたら、定期借家権の成立要件が曖昧になる結果、、定期借家権と普通の借家権との境界線が不明確になり、ひいては不動産賃貸借市場の混乱をもたらするおそれがあるからである。
なお、定期借家権をめぐるトラブルを防ぐため、他の賃貸借契約書同様、定期賃貸借住宅標準契約書が用意されている。通常の仲介業者は、この標準契約書を使うはずで、これを使用しているかぎり、最高裁のようなトラブルは起きないはずである。
なぜ、本件では、この標準契約書を使用しなかったのだろうか?
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