ニャラリーガルはなちゃんのひねもすのたり日記
森法律事務所のトップに君臨するニャラリーガルハナちゃんとハナちゃんに従える下僕所長、それぞれの、ひねもすのたりのたりの日々を送ります。このブログで、社会に何かを発信しているわけではありません。
家賃滞納・建物明渡・欠陥住宅の相談は、不動産案件取扱件数トップレベルの森法律事務所へ
http://www.mori-law-office.com/fudousan/index.html
03-3553-5916
賃貸、売買、欠陥住宅、そのほか不動産に関するご相談を承っております。何時でもお電話ください。
借地借家法は、経済的に弱い立場である賃借人を保護するため、いろいろな保護規定を設けていますが、その典型例が、大家さんは、明渡を求める「正当な事由」がなければ、更新を拒絶できない、あるいは中途解約できないというものです。この「正当事由」は、裁判実務上、ほとんど認定されないことから、「貸してしまえば、半永久的に追い出せなくなる」のが実情です。
かっては住宅不足から、借家人は追い出されるとなかなか次の家が見つからないという現実がありましたから、大家による追い出しを認めないというのは、経済的合理性がありました。しかし、今は、立場が逆転し、大家さんが頭を下げて借家人に入居してもらうのが現実です。入居者だって、追い出されても、すぐに次の家が見つかります。今は、正当事由を厳格に認定する理由も必要もないと思いますが、なかなか、裁判実務はかわりません。
ところで、借地借家法が、経済的弱者である借家人を保護しようとする制度である以上は、経済的弱者でない借家人には、借地借家法の適用を認めなくてもよいのではないか、という意見が当然でてきます。
その典型例が、サブリース契約です。大家さんは、たいてい建築会社のいいなりにアパートを建てた方で、右も左もわからない素人が多い、経済的弱者です。これに対し、賃借人は、経済的弱者どころか、たいていは大企業で、専門的知識も資金も人材も豊富な経済的強者です。
この点を考えると「サブリースには、借地借家法の適用を認めるべきではない」という意見は、それなりに説得力を持ちますが、最高裁は、サブリース契約にも、借地借家法の適用はあり、サブリース契約の更新を拒絶するためには、正当な事由が必要だと断言しています。(最高裁平成15年10月21日第三小法廷判決)
そうすると問題になるのは、どういう場合に更新拒絶ができるかですが、これについては、「東京地判 平24・1・20」が、今後の参考になる判断をしています。この判決は、サブリース業者を借主とする建物の賃貸借契約の更新拒絶につき正当事由が否定していますが、参考になる部分が多いですね。
【借家法1条の2の正当事由とは、何か】
借家法1条の2の正当事由とは、賃貸借契約の当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして妥当と認めるべき理由をいう
【どのような要素を考慮するか】
最も重要な判断要素は、
「当事者双方の建物を使用する必要性の有無、程度に関する事情」である。
付随的な判断要素としては
① 賃貸借に関する従前の経過、
② 建物の利用状況、
③ 建物の現況、
④ 契約期間中の賃借人の不信行為、
⑤ 立退料の提供の申出
である。
【本件ではどうか】
①建物の転貸条件付一括借上による賃貸業務等を目的とするサブリース会社にとって建物賃借権が存在することは事業上重要な部分を占めているところ、本件においては、現に事業として本件建物部分の転貸を行っており、固有の利益を有している。
②サブリース会社から借りている転借人も本件建物部分を使用する必要性がある。
③サブリース契約の契約期間の満了や立退料の申出等があるが、これを考慮しても、賃貸人は、サブリース会社と比較して本件建物部分を使用する必要性は低い
なお、正当な事由の判断は、裁判官の主観に委ねられていることが多く、判例から一つの統一的な基準を見出すことが困難であることは、以前のブログでも述べた通りである。一般論部分は参考になるとしても、具体的な判断部分は、あくまでも「参考」である。
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図解で早わかり 借地借家 法
森公任 監修
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3945
三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税)
「賃貸借契約を締結すると、貸主と借主は長期間にわたってつき合うことになります。
長期の契約の間に貸主と借主との間でトラブルが生じてしまう可能性は決して低くありません。
本書は、借りる側、貸す側のどちらの立場からも必要となる借地借家法の基本事項を中心に解説しています。
賃貸借契約においてしばしばトラブルになりやすい、敷金・賃料・必要費・有益費といった金銭がらみの問題は、図表を使いながらわかりやすく説明しました。
「図解 相続・贈与・財産管理の法律と税金がわかる事典」
森 公任・森元 みのり 共同監修
2015年05月 発売
定価: 1,944円(本体:1,800円+税)
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4172
「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。
相続登記申請書、遺言状、契約書、家事調停手続きなどの書式サンプルも豊富に掲載しています。平成27年度の税制改正にも対応した安心の1冊です!」
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【借家法1条の2の正当事由とは、何か】
借家法1条の2の正当事由とは、賃貸借契約の当事者双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして妥当と認めるべき理由をいう
【どのような要素を考慮するか】
最も重要な判断要素は、
「当事者双方の建物を使用する必要性の有無、程度に関する事情」である。
付随的な判断要素としては
① 賃貸借に関する従前の経過、
② 建物の利用状況、
③ 建物の現況、
④ 契約期間中の賃借人の不信行為、
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である。
【本件ではどうか】
①建物の転貸条件付一括借上による賃貸業務等を目的とするサブリース会社にとって建物賃借権が存在することは事業上重要な部分を占めているところ、本件においては、現に事業として本件建物部分の転貸を行っており、固有の利益を有している。
②サブリース会社から借りている転借人も本件建物部分を使用する必要性がある。
③サブリース契約の契約期間の満了や立退料の申出等があるが、これを考慮しても、賃貸人は、サブリース会社と比較して本件建物部分を使用する必要性は低い
なお、正当な事由の判断は、裁判官の主観に委ねられていることが多く、判例から一つの統一的な基準を見出すことが困難であることは、以前のブログでも述べた通りである。一般論部分は参考になるとしても、具体的な判断部分は、あくまでも「参考」である。
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「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。
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